そもそもの始まりは ここ幾日かくらいから始まった、あの娘の私に対する打って変わった態度だ。
‥違う。
私に対する、じゃあない。
私とゴーシュさんに対する、が正解。
私とゴーシュさんを、あからさま過ぎるほど露骨に避けてくれる。
つい数日前だって―‥
『リーシャ? どうしたの?』
『リリィ!?』
『そんなに息切らして、何かあったの?』
‥―郵便館の廊下のど真ん中に突っ立ってそわそわしていたから、何か大変な事にでも遭ったのかと思って声を掛けたのに。
『な、何にもないよ!
じゃあ、配達あるから行ってくる!』
顔色を変えて、慌てて“逃げられた”。
逃げられた とか、最初は気のせいだと思った。
あの娘が‥リーシャが 私から逃げ出す なんて事、あるはずがない。有り得ない。
そう、思っていた。
‥でも、違った。
確実に、あの娘は私から“逃げた”。
あの日‥
ゴーシュさんから とある話 を聞いて、それ を確信させられた。
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