「‥はい。
 とりあえず これ飲んで、落ち着いて。」

息せき切って走ってきリーシャに、リリィはお茶を勧める。

「うん、ありがと。」

出されたティー・カップを両手に、ごくごく と一気に飲みほす。

「‥‥っはぁっ。生き返ったぁ。」

渇いた喉を潤し、大きな溜め息をつく。

「‥‥で。何があったの?」

「‥え?」

「“‥え?”じゃなくて。
 何があって、そんなに慌てて走ってきたのよ。
 びっくりするじゃない。」

リリィは自分の分のお茶を片手に、何か私に用があったんじゃないの? と呆れたような顔をした。

「‥あっ!! そうだった!!」

突然、思い出したようにリーシャの勢いが戻る。

「あのね あのね、私、ゴーシュ‥ゴーシュ・スエードの事が好きなの。」

「‥知ってるわよ。
 一目惚れしたんでしょ?」

「うん。でね、リリィにお願いがあるの!!」

「‥お願い?」


  「彼を落とすテクニックを教えて!!!」



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