スエード家からの帰り道。
「ねえ、いつ指輪買ったの?」
きらきら輝く左薬指の指輪を見つめながら、私は隣を歩くゴーシュに問いかけた。
「アカツキへの栄転話が来た翌日には」
「ふーん。じゃあ、指輪のサイズはどうして分かったの?」
私、教えた覚えないよ?と首を傾げる。
「ああ。それなら、リーシャが寝ている時にサイズを測りました」
「いつの間に…」
知らない間にサイズが測られていたと知って驚いた。
「じゃあさ、指輪はいつも持ち歩いてたの?すぐに出してくれたって事は」
「ええ、まあ…。いつ伝えようか悩んでましたから」
ほんのりと赤く染まった顔のゴーシュは、ぽりぽりと頬をかいている。嬉しくて、顔が自然と綻ぶ。
「ありがとう、ゴーシュ」
「どういたしまして、リーシャ。でも、これから忙しくなりますね」
「何で?」
にっこりと笑ったゴーシュの言葉の意味が分からなくて、私は首を傾げながら聞き返した。
「僕の家に引っ越しですから、荷物を纏めないと」
「あ…」
言われて気づいた。結婚するなら、私がゴーシュの家に行くんだよね。
「それに、結婚指輪も買いに行きたいですし」
「ゴーシュ…!」
さらに続けられた言葉に感動した私は、ゴーシュに勢いよく抱きついた。
―――――
指輪について気になった事をヒロインが質問するという、おまけな場面です。
こっそりサイズを測って、一人で指輪を買いに行って、いつでも渡せるように準備してるゴーシュもかっこいいですね。
2010.10.06 up