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アイロニ



…少し。ほんの少しなんだけど歩き疲れたんだよ。
人生なんていう長い道をね。まぁ、月並みな表現で言ったら。

もちろん、少しでいいから休みたいんだよ。
だけどね、休ませてくれる時間なんてないんだ。
なんでって、…時間は止まることがないんだからさ。




「おーい!未来ー?」
「んー?なにー?」
「…未来、またドジったでしょー?はい、これ」

あーあ、また、うまくいかなかったか…
っつ、なんで、いっつもこうなるのかなぁ。

「あはは…もー、しっかりしてよー?」

そんなの言われなくてもわかってるのに。
…あれ?もしかして、悔しいの?
そんなことない、ある訳がない。
別に悔しくなんてないんだから!



―――――――お母さん。
今、忙しいの。後にして?―――――――

―――――――お父さん。
なんだ?大事なことか?―――――――


別に、淋しいとかそういう訳じゃない。
けど、少しでいいから一緒に話したい。
だからって…いや…うん
あぁ、私の欲しいものは届かないの。
そう、もう少し、ってところで届かないの。
それならさ、いっそのこと、何も与えないでよ…!



「―――――――――だって、絶対!」
「いや、―――――だろ?」
「それこそ、絶対―――――だから」

…はぁ、どれも、間違ってはないんじゃないの?
私は、『絶対』なんて信じられないけど。
だって、こういう風に人によって変わっていくでしょ?

「君だけが苦しいなんてそんなことないよ。俺も、君の友達も誰もがみんな苦しいんだ」

それくらいのことなんて理解してる。
じゃあ、それを我慢して笑って過ごせっていうの?


もうわかんないよバカ!





「―――――――――!」
「――――――?――――」
「――――…」
   ・
   ・
   ・
なぁんだ、まんざらでもないじゃんか。
っていうか、簡単に考えてれば楽だったとかさー…

あれと…これと…もーめんどいなぁ。
…まぁ、これくらいでいっか。


「未来、だいじょーぶ?…病んじゃった?」

あー、またか。その言葉は聞きたくないよ、やんなったし。
やんわり終わればいーでしょ?



夢?希望?
…生きてる意味?
そんなのなくたっていいから、
私は、具体的でわかりやすい
機会ってのが欲しいです。

私が泣いてもいい場所はどこですか?
でも…もう泣き疲れたんですけどね。



きれいごとなんて嫌い。
だって、期待してもさ…
どうせ形にはなんないし。
たとえば、「星が僕らを見守って」って。
それって、夜だけじゃん…ねえ!?

あとさ、君の優しいとこ。
つい必要としちゃうの。
だから、この心のやわらかいとこにだけは、


もう触んないでヤダ!





「みくー?」
「みくさーん!」
「未来?」
「…みく」
「みーく!」
「未来ちゃん?」


「…未来!!」


…もうほっといてよ。
…もう置いてってよ。
私の道は汚れきってて、
どう足掻いたところで、変わんないんだよ
…ああ!



…え?疲れたよ?それで弱気にもなってる。
でもね、逃げ出しても無駄なんだよ。
だから、耳塞いでさ、
最低だって泣いてんの!

なら…人生がなんなのかって、
わかんないけど、それでも生きてるだけで、
幸せって思えばいいの?


もうわかんない。

わかんないんだよ…バカ!

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