アイロニ 0 …少し。ほんの少しなんだけど歩き疲れたんだよ。 人生なんていう長い道をね。まぁ、月並みな表現で言ったら。 もちろん、少しでいいから休みたいんだよ。 だけどね、休ませてくれる時間なんてないんだ。 なんでって、…時間は止まることがないんだからさ。 1 「おーい!未来ー?」 「んー?なにー?」 「…未来、またドジったでしょー?はい、これ」 あーあ、また、うまくいかなかったか… っつ、なんで、いっつもこうなるのかなぁ。 「あはは…もー、しっかりしてよー?」 そんなの言われなくてもわかってるのに。 …あれ?もしかして、悔しいの? そんなことない、ある訳がない。 別に悔しくなんてないんだから! * ―――――――お母さん。 今、忙しいの。後にして?――――――― ―――――――お父さん。 なんだ?大事なことか?――――――― 別に、淋しいとかそういう訳じゃない。 けど、少しでいいから一緒に話したい。 だからって…いや…うん あぁ、私の欲しいものは届かないの。 そう、もう少し、ってところで届かないの。 それならさ、いっそのこと、何も与えないでよ…! * 「―――――――――だって、絶対!」 「いや、―――――だろ?」 「それこそ、絶対―――――だから」 …はぁ、どれも、間違ってはないんじゃないの? 私は、『絶対』なんて信じられないけど。 だって、こういう風に人によって変わっていくでしょ? 「君だけが苦しいなんてそんなことないよ。俺も、君の友達も誰もがみんな苦しいんだ」 それくらいのことなんて理解してる。 じゃあ、それを我慢して笑って過ごせっていうの? もうわかんないよバカ! 2 「―――――――――!」 「――――――?――――」 「――――…」 ・ ・ ・ なぁんだ、まんざらでもないじゃんか。 っていうか、簡単に考えてれば楽だったとかさー… あれと…これと…もーめんどいなぁ。 …まぁ、これくらいでいっか。 「未来、だいじょーぶ?…病んじゃった?」 あー、またか。その言葉は聞きたくないよ、やんなったし。 やんわり終わればいーでしょ? * 夢?希望? …生きてる意味? そんなのなくたっていいから、 私は、具体的でわかりやすい 機会ってのが欲しいです。 私が泣いてもいい場所はどこですか? でも…もう泣き疲れたんですけどね。 * きれいごとなんて嫌い。 だって、期待してもさ… どうせ形にはなんないし。 たとえば、「星が僕らを見守って」って。 それって、夜だけじゃん…ねえ!? あとさ、君の優しいとこ。 つい必要としちゃうの。 だから、この心のやわらかいとこにだけは、 もう触んないでヤダ! 3 「みくー?」 「みくさーん!」 「未来?」 「…みく」 「みーく!」 「未来ちゃん?」 「…未来!!」 …もうほっといてよ。 …もう置いてってよ。 私の道は汚れきってて、 どう足掻いたところで、変わんないんだよ …ああ! * …え?疲れたよ?それで弱気にもなってる。 でもね、逃げ出しても無駄なんだよ。 だから、耳塞いでさ、 最低だって泣いてんの! なら…人生がなんなのかって、 わかんないけど、それでも生きてるだけで、 幸せって思えばいいの? もうわかんない。 わかんないんだよ…バカ! back |