※新テニ跡部仁王ダブルス後









体が痛かった。
一人じゃあたてないし、視界もぐるぐるするし、真っ白な天井を見るしか、今の俺にやるコトほなかった。
全員が試合を見まもっているからか、医務室も静まり返っている。
遠くからなんだかすごい音が聞こえたような気がしたけれど、確認するすべを持っていなかった。

「…」

唇を噛む。
カタカタ、と寝そべっているのに笑うように震える膝を押さえつける腕もまた震えていた。
なさけないったらありゃしない。

ツ、と鼻の奥が熱くなる。
ドライアイにはキツイくらい刺激的。
バカにするように笑う膝。
体が動かない。
ジャージにくっつけられたピンのキャッチが冷たく当たった。



「女かてめぇは」



ぎょっ、として瞼を開く。
ゆらゆら揺れる視界をなんとかクリアにすれば、

「…なんでおるんじゃ」
「なんだっていいだろうが」

ぎらぎらの銀色。
不健康児。悪態を吐きたかったけれど、影が落ちて怖くて言えなかった。
バスンッ、と簡単な造りのベッドが亜久津が腰を下ろした方向に跳ねる。
ドライアイ補修のための涙が余りすぎてボロリと淵から落ちた。

「試合中じゃろ」
「あ?」
「見てなくていいんか」
「誰に指図してんだ」

テニスなんざ興味ねぇんだよ、顔面に真っ白なタオルが落ちてきた。

「…ふぅん」
「…」

嘘つき。コイツは練習してたに違いない。
落ちてきたタオルは、ほんのり汗臭かった。

「亜久津、」
「 」
「なぁ、亜久津」
「…なんだよ」

このままテニスが出来なくなったらどうしたらええと思う、

声は震えていただろうか。
泣きそうなのはバレなかっただろうか。

膝が痛い、
体が痛い、
頭が痛い、
心臓が張り裂けそうなほど痛い。

「そんなの俺の知ったこっちゃねぇ」

やっぱりコイツは嘘つきだ。
ユニフォームからも汗の臭いが少しした。














お待たせしてしまい申し訳ありません…!
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