※ちゅー注意









昼休みにB組を訪ねると、そこにはすでに彼の姿はなかった。
(私と同じなのだろうか、)仁王くんを探しに来たらしい女子生徒が丸井くんに声をかけている。
首を横に振っているところから、丸井くんは彼の居場所を知らないらしい。
ふと、私に気づいたのか「知りません」とばかりに首を竦められてしまった。





立入禁止のプレートを見ながらノブを捻れば、重い金属の音をたてながらドアが開く。

「校内に猫を連れ込むのは関心しませんね」
「学校内にいたヤツじゃ」

屋上まで連れてきたのは俺だけどな。
こちらも見ずに仁王くんは楽しそうに笑った。
ちろちろと動かす指先の下で白い猫がごろごろと転がってはじゃれついている。
しゃがみこむ彼の頭頂部を見下ろすほど近くまで寄った。

「なぁ柳生、撫でてみんしゃい」
「はい」

猫から視線を外すコトなく言われたそれに、銀色の彼の髪を鋤くように撫でる。
クンッ、と手に衝撃。
不満げに2つの目がこちらを見ていた。

「猫」
「あぁ、そちらでしたか」

どうやら猫を撫でてみろと言っていたらしい。
彼と同じようにしゃがみこんで白い猫を撫でた。
艶のいい毛並みが気持ちいい。






「キスでもしてみたらどうじゃ」

ぱっ、と顔をあげる。
仁王くんは猫を見ていた。
また撫でてみろと言った時のように猫にキスをしてみればというのだろうか。
長くなった沈黙のせいか、金色の目がこちらをちらり、と見た。

あぁ、きっと、

「…んっ」

彼はキスされたがっている。

ぐっ、とその頭を引き寄せてキスをする。
向こう側に向こう側にと力をいれていけば、さほどの抵抗もなくコンクリートの上で仁王くんを組伏すコトができた。

猫は少し遠くで丸くなって、どうやらもう寝てしまうらしい。
長く合わせていた唇を離して、乱れて露になった眉の間に軽くキスをした。

「仁王くん」
「、」
「貴方のしたいコトなら全て私がやってさしあげますよ」

それとも猫にキスをすべきでしたか?
クスクスと笑いながら言えば、先刻のような不満顔。

首にかけられた腕を頼りに、もう一度引き寄せてキスをした。













仁王大好き柳生に少しでも見れれば…。
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