※女体化(仁王ちゃんシリーズ)
くあっ、と欠伸をしながら起き上がる。
体育のあとの音楽なんてやってられんものはない。
厳しいで有名な体育教師にしごかれて、どろどろにかいた汗を乾かす時間。
誰も来ない屋上の扉前、冷たい廊下の床に寝転がって寝ていた訳だが、
「よっ」
「ひぃっ」
体を起こすと赤いブタ(「あとでしばく」)がいた。
思わず変なところから声が出た。
そう今は汗の乾燥中。
じっとりじんわり汗をかきやすい胸の下は、ただでさえ風なんか来ないから、
「いやぁ、壮観!」
「どっか行ってくださいブタさん」
ブラウスのボタンを開けっぱなしにしていたのだ。
きっとこれがばれたら、お腹を出して寝ると風邪を引きますよ!なんて柳生にどやされるけれど。(あっついもんは暑い。)
今はそんなコトよりも、必死でブラウスの前を掻き寄せた。
目の前の丸井がなんだか不満そうな声を出しているが、無視。
急いでボタンを閉める。これで一安心。
「なぁ仁王、ボタンかけ間違ってる」
ぱっとブラウスから手を離すと、ついつい、っと丸井の視線がボタンの間をさまよった。
見下ろすと、確かにかけ間違い。
ブラウス全体がぐにゃりと歪んでいた。
一番上まで閉める癖がないからか、かけ間違いに気づけなかったようだ。
おっぱい星人丸井に少しでも隙を見せないように慎重にボタンをはずして、かけ直す、
「ん?」
かけ直す、
「ぴ、ぴよ…」
かけなお、
ぱちん!
「ぷぴーな…!」
うまくボタンホールにボタンが入らず、思わず指先からボタンが逃げた。
ぱっ、と開く第3ボタン。
おぉ、なんて感嘆の声を漏らす丸井をひとつぶん殴って、左右に分かれたブラウスをもう一度寄せる。
ぐぐっ、
「んー、」
ぐ、
「んんーっ、」
ぐ、ぐ、
「んんー!」
ぱちん!
我慢できなかったのか、丸井爆笑。
ボタンがかけられないとは一体何事。
正直、通常を逸したこの胸が心底邪魔に思った瞬間だ。
はぁ、とひとつため息を吐くと、ひーひー笑っていた丸井が手を伸ばしてきた。
慌ててそれをはたき落とす。
が、反対の手にしっかりとボタンを握られてしまった。
「かけてやるから、大人しくしてろぃ」
女子のブラウスが右前なのは、誰かに身支度をしてもらうためらしい。が、
「(もうワンサイズ大きいブラウスを買おう…)」
金輪際そんな世話にはなりたくないと、顔を覆いながら思った。
仁王ちゃん、服のボタンがしまらないお話