※裏あり










まだまだ夜は長いらしく、帰ろうと出店の並ぶ道を歩くと、正面から歩いてくる人たちにぶつかる。
歩きにくい格好のせいか、なかなか進めなかった。



「んんっ、…あっ、」

夏なんだから、そう言われて着てみた(真田も)浴衣は、自分じゃあ着付けられない。
ぐしゃぐしゃになったそれに腕を通すだけの形。
平らな胸を丁寧に舐めていく真田を離そうとしているのか、押し付けているのか分からないけれど、髪に指を通して悶える。
きゅっと締められた帯のせいか、祭ではあまり固形物を食べられなかった。
ラムネやら、わたあめやら、そんなものを少しずつ収めていった感に近い。
腹が減っている訳ではないけれど、満腹の時よりもぺたんこな腹は、別の感覚を刺激しているように、真田の舌に敏感に反応した。



「さな、だ…ぁ、も…むり」

ひくひくと痙攣を起こすように体を跳ねさせる仁王の胸元から頭をあげた。
夏祭りの後。人混みが苦手だと言う仁王は楽しげにしていたものの、案の定それから抜け出せば少しぐったりしていた。
浴衣は暑さのせいで突っ込まれた指のせいで胸元が大きくはだけている。
つ、っと伝った汗を見てごくりと喉が鳴った。
休憩しよう、と家に連れてきた。
嘘は言っていない。
浴衣を直そうなんて一言も口にしていないのだから。

家族は全員旅行に出掛け、部屋の外に吊った風鈴がちりん、と寂しげに鳴く。
小さなその音は一度だけ聞けば十分。

「ひっ、あ…っ、さな、さなだ…っ!」

今は仁王の口からひっきりなしに紡がれる声の方が魅力的だ。
熱の中心を仁王に突き立てながら、ぱくぱくと縁日の金魚のように開閉する口にそっとそれを重ねる。

「…甘いな」
「あっ、あっ、」

返事もままならない仁王の唇にもう一度口付ける。あまったるい。
犬のようにそこを舐めていく。
苦しそうに身悶えするが、如何せん広がった浴衣の上に俺が乗っているので、自由には動けない。
ふっ、と縁日の出店が頭をよぎった。

「林檎飴か」

水飴の甘さ。人工着色料の色は苦手だが、祭の最後に透明にコーティングされたそれを口にしていたのを思い出した。
もう一度問いかけるように声をかけてみるが、小刻みに揺すってやっているせいか、頭ががくがくとして肯定なのか否定なのかは謎だった。

「やっ、やぁっ、くる…、くるぅう!」

激しく揺さぶっていると限界が来たらしい。
少しの我慢のせいだろう、びくんびくん、と四肢が跳ねる。
隣の家まで聞こえてしまいそうな声を食らうために水飴味に唇を寄せ、

ひぅ…

ぱぁぁんっ!

大きな音に被さるように体を弓なりにしならせ、仁王はいった。
花火だ。そう思うよりも、俺は障子から漏れた花火の光で照らされた仁王の恍惚の表情に見惚れた。
ぼんやりと赤く照らされたその表情たるや、

「はぁ、はぁ…っ、」
「仁王」
「ん…?え、あ、ぁあああ!」

あまりにも妖艶で堪らなかった。

花火が終わるまでまだ30分以上。
遮らなくていい水飴味の唇を見つめながら熱の律動を再開した。














夏祭り、花火、そして浴衣と裏。
前2つの要素が薄くてすみません…。
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