「柳生、海行くぜよ」

にっ、とイタズラに笑った仁王くんは年相応に中学生でした。



ざわつく教室を抜け出して彼の秘密の抜け穴を抜けるとすぐに街に溶け込んだ。
目立つ制服ではあるものの、周りの大人たちは比較的寛容というか放任というか。
もしかしたら私立だからカリキュラムが違うと思われているのかもしれない。
注意を受けるコトはほとんどなかった。



ゆらゆらと揺れる仁王くんの尻尾を見ながら歩く。
彼にはしてやられっぱなしである。
いつか彼よりも先に行動を起こしてみせようも目論んではいるものの、なかなかうまくはいかないものです。
ぱっと視界が開けたと思えばそこはもう海だった。
柄にもなくパタパタと走り出してくるりとこちらを振り向くと、

「柳生っ、見てみんしゃい!」

満面の笑みだった。
きっと彼も私と同じように考えたに違いない。

今日の太陽の下で見る海は絶対に綺麗だ、と。

自分の行動に今さら気づいたのかせっかくの笑顔が赤面に変わる。
立ち止まる仁王くんを追い越しながら軽く肩を叩いた。
ほら、

「仁王くん、海ですよ」

へにゃり、と崩れた表情と一緒に砂の上に転んだ。




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