相互リンク記念





暑いの、嫌い。

そう呟いたらアホを見る目で見られたコトを思い出した。
扇風機を出すには少し早いような気がしていて渋ったのを後悔する。

「あっづい…」

窓という窓は開けてあるのに、かいた汗のせいで台無し。
冷える暇なく俺に暑いんだからなんとかしろよとぐちぐち文句を言っているようだ。
どろどろと溶けてしまえばいいのに。
乾いてきた体を潤そうとペットボトルに手を伸ばす。

「…空っぽ」

ぐぐっと後ろに反り返ったまま起き上がれないに床に背面ダイブ。
取り損ねた空のペットボトルがぽこぽこ音を立てて転がった。
ごおごお、と飛行機が上空を飛んでいくのを音で聞きながら、暑い日に出くわした真っ黒な鳥の間抜けな姿を思い出した。

「   」

ぽかりと口を空洞にして開ける。
犬は舌を出して体温を調節できるらしいが、残念ながら、俺にはそれが出来なかった。
夏の陽射しにやられて茶色くなったトマトの葉っぱを思い出した。






「っ?!」

ピタッ、と冷たいものが首に当てられた。
思わず飛び起きる。

「よお」
「亜久津…」

どうやら口を開けたまま眠ってしまっていたらしい。
乾いたカサカサな声が出た。
さっき首に当てられたのはコンビニで冷やされたスポーツドリンクのようだ。
亜久津の手の中でペットボトル2本が入る中途半端なサイズの袋がガサガサ鳴った。
手渡されたそれに口をつける。
食道をダバダバとスポーツドリンクが落ちていくのが分かった。
染み渡るっていうのはこういうコトか。

「扇風機はどうした」
「ん…、まだ仕舞ってある」
「開けんぞ」

なんでもかんでも不要なものを突っ込んだ収納の扉が開く音を聞きながらまたばったりと仰向けに倒れた。
あの黒い鳥は死んだだろうか。
からからに乾いて、暑すぎて、死んだだろうか。
コンセントが久しぶりに活躍をする瞬間だ。
ぶお、と部屋の空気を混ぜるみたいに扇風機がつけられた。
倒れた俺の隣に亜久津が腰をおろす。
お揃いのスポーツドリンクだ。

「死ぬぞ、てめぇ」
「大丈夫」

そう言ってへらり、と笑う。
さっき寿命尽きましたと俺より先にへばった携帯が、何度も何度も着信音を鳴らしていたから。
3回もでなければ、こうやって

「このダメ人間め」

亜久津が助けに来てくれるから。












相互リンク記念で書かせていただきました。
莉緒様、どうぞよしなに!


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