※病的に暗いのが嫌いな仁王くんシリーズ(もうなんでもいい)
電気は消して寝る。
なんて言うから、ベッドに潜り込んでから電気を消してやった。
ヤツがベッドに入るのを見て、豆球も消す。
これで安眠間違いなしだ。
「…暗いのは苦手なんじゃないのか?」
「ふん、文句言われるのは嫌じゃからな」
暗いのが苦手なんて、そんなんじゃない。
大っ嫌いである。
恐ろしくなってくるのだ。
震えだす体をなんとか押さえつけようと自分の肩をしっかり抱いた。
何がそんなに嫌かって?
そりゃあ、一人ぼっちになってしまったような気がして寂しいからだ。
真っ暗でなにも見えないのは大嫌い。
ものもらいで片目を塞がれているときの気分のもっともっと倍だ。
早く眠ってしまいたい。
眠ろうとすると眠れないなんて言う通りで、しっかり瞑った瞼が疲れただけ。
ぱちり、なんて音がした。
瞼の外側から強く照らされる。
「…なんのつもりじゃ」
ゆっくりと瞼を上げると、部屋の電気はしっかりついていた。
電気のスイッチの音だったらしい。
睨むようにヤツを見る。
少し遠くにあったスイッチから戻ってくる。
「俺は別に暗くても平気じゃ」
負けたような気分がして、スイッチを消そうとすると、そのまま頭を押さえつけられて動けない。
「早とちりをするな。読書をしたいだけだ」
手に取られた新書。
ふん、なんて言ってベッドにもう一度潜り込んだ。
布団をしっかり被ると、その上からポンポンと叩かれた。
「お子さまじゃなか」
「丁度いい位置に手置きがあったからな」
ぽんぽん、とうまく背中の上で弾むその手のリズムを感じながら目を閉じた。
溶けるように眠くなる。
本当は知っとる。
さっきの新書はもう読み終わってる。
だって朝片付けたのを見たから。
だるだると睡魔に食われていった。
徳川:電気をつけて、寝付くまで待つ