仁王先輩は、触らせてくれない。

トットットッ、トトッ、トットットットットットッ

猫みたい。液体みたい。

トットットットットッ、 ット、トットットッ
トトッ、ット、トットットットットットッ…、



「っだぁ!なんで逃げるんすか!」
「ぷぴーな」
「待って!」

トトトトトッ、

触らないから!

そう言うと、ようやく仁王先輩の歩幅は収まった。
猫背の隣に並ぶ。

「なんで触られたくないんすか」
「なんで触りたいんじゃ」

間髪いれずに質問が飛ぶ。聞いてんの、俺!
もう、この人は。
言ってやろうか、このやろー。

「だって…」

ダメだ、こっぱずかしい!ガーッと頭を抱える。言えるか、そんなの。

「触られたらどきどきしちゃうなり」
「え?」

ぱっと、顔を上げる。それって、もしかして、仁王せんぱ、
にやにや。
…俺のジュンジョーもてあそぶ!
くるりと前を向いた仁王先輩の尻尾が浮いた。
悔しくて悔しくて、バッと手を伸ばす。
取った!
あ、と振り返った先輩の目を見ながら、尻尾の先にちょっとキスした。(やってやったぜ!)

「ぷりっ」
「いたい!」

べしん、と一叩き。
脇腹にチョップを食らって横にすっ飛んだ。いたい!

「何するんすか!」
「それはこっちの台詞じゃ、ばかや」

トットットットットットッ、
待って、仁王先ぱ、
あ、

「どきどきしちゃうって言ったじゃろ」

仁王先輩の首筋は真っ赤だった。
(そんな可愛いコトってある?)



×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -