※暗いのが病的に嫌いな仁王くんシリーズ(にしては間が空いた。)







暗いのが嫌いだから寝る時もずっと豆電球をつけている。くらいには嫌いだ。
なのに、

「離し、て…」

参謀の大きな手に覆われたせいで視界は真っ暗。
豆電球の薄暗い光の中でメール着信のバイブを鳴らした携帯を見ようとしたら、後ろから抱き締められると同時に視界を奪われた。

ぴっちりと締められた指と指の隙間と、がっちりと目元を押さえる力のせいで大嫌いな真っ暗。
背筋を下から上に何かが駆け抜ける。
これを寒気がすると言うのだろうか。
残念ながら高速の毛虫が背中を這ったようにしか感じない。
見えないものは信用なんて出来ん。

離してくれと叫んだ喉はカラカラになって、柳の手から逃げようと暴れた体は疲れきってもう動きたくもない。

「離して…、離し、てぇっ」

泣くしか、今の俺に出来るコトはなかった。

真っ暗は嫌い。嫌い嫌い嫌い。ひとりぼっちになるから嫌い。
頬も、柳の手も、びしょびしょなほど泣く。真っ暗は、

キライ。

くっ、と後ろに抱き締められた体ごと引かれる。
もっともっと強い力を体全体で受け止める。

「仁王」

ふ、と右耳に声が入った。
涙はまだ止まらない。

「俺はここにいるぞ」

仁王の傍にいる。

まだ泣き止めそうにはないけれど、少しずつ暗闇に慣れて行くことはできるだろうか?


















柳:視界を奪って耳元で囁く


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