授業なんてサボるもんじゃない。

珍しくそう思ったけれど、多分明日になったらサボる気分。
HRと同時に目の前に立った先生のにっこり笑顔に捕まった。
思えば、嫌な予感はしていたのだ。

「(部活終わった…) 」




課題だ!と押し付けられたプリントの束を見て、鞄にしまおうとすれば、すぱん、と名簿の角で殴られた。痛い。
後ろの席に座っていた丸井は爆笑。(今度覚えとけ。)
これを今日中にやれと言う。
先生の鬼、鬼畜、悪魔。暴言吐きたきゃいくらでも吐け!とこれまたいい笑顔で言い捨てて俺は置き去りにされた。
サボってやろうか、そう思ったが、いざプリントを1枚めくった先にあった「逃げたら3倍」の字にシャーペンを握らざるを得なかった。




かなりの枚数だった。
動かしていた手は痛いし、働かせていた頭も重い。心なしか目も疲れてる気がする。
仰け反るように椅子の背凭れに体重をかけて後ろに傾く。
疲れた目は閉じて。
休憩したら提出しに行こう。
どっと疲れた体が重い。

「おー、終わってんじゃん」

くっ、と前に押しもどされるように頭に触れられる感覚。
ぱったん、と、浮かしていた椅子が四つん這いになった。
目を開ければ、赤。
そこから伸びた手はなぜか俺の頭の上にのせられていた。
わしゃわしゃと動くそれを止めるべく、手首をつかんだ。

「…なにしちょる」
「何って、撫でてた」

撫でてた、だと?
この年になって、いやこの年にならなくても、誰かに頭を撫でられてのは初めてだ。
にょきにょきと身長が伸びたおかげで、赤也の頭を撫でくりまわすコトはあったが、同じようにされたコトはなかった。
なんだか、むず痒いような感覚。

「なんで」
「なんでって、イイコは誉めてやらないと」

馬鹿にしたように丸井は笑ったが、腹はたたなかった。
頭を撫でて誉めてもらったコトなんてあっただろうか。
年の離れた姉貴もあっと言う間に成長期で抜いてしまった。母親しかり。父親は撫でたりなんてしない質。弟に限って言えば、撫でてやる側だ。

「…あっそ」

慣れない。
けれど、なんとなしそれはとても心地よかった。
だから、だ。
払い除けずに、動きを止めていた手を放しただけだったのは。
ぽすり、と頭の上にそのまま丸井の手が落ちた。


















兄貴肌な丸井くんと撫でられ慣れてないけど、撫でられるのが気持ちよくなる仁王くん。
フォロワ様とのお話の中から!
ありがとうございます!

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