※暗いのが病的に嫌いな仁王くん(なんだよきっと)






合宿にきた宿はなかなかいいところだったけれど、街頭もなにもないようなところで、実はちょっと飽き始めていた。
仁王と相部屋だからきっとこの部屋が一番退屈しないはずなんだけど。
ベッドに寝転がって天井を見ていたらいきなりなにかが切れる音がして部屋が真っ暗になった。
あ、停電。

「プリ…!」

妙な声と一緒に隣のベッドからデカイものが落ちた音。
仁王が転げ落ちたんだろぃ、なぁんてガムを膨らませる。
暗いのが嫌いなんて言うのは最初は嘘だと思っていたけど、あながち嘘ではないらしいコトが今回の合宿で段々分かってきた。
2つのベッドの間にあるスタンドは寝る時にだって絶対に消されないし、1回、仁王が戻ってくる前に部屋を真っ暗にして先に寝てたら一晩中自販機の前にしゃがみ込んでたとか言うし。



カサカサ
床を這いずる音が聞こえる他はずーっと静かになってしまった。
赤也とか今頃キレてなきゃいいけど。(「ああー!セーブぅ!」)

カサカサ、

「おい」

カサカサ、

「おい、仁王」
「ぶん、ちゃん…?」
「こっち来いよ」

あまりにも停電が長いし、カサカサが五月蝿かったから仁王を呼んだ。
しばらくして仁王がベッドに上がってきた。

「目閉じたらそりゃあ暗いって」
「だって怖い」

目閉じたらそりゃあ真っ暗か分からないけど、その中だって真っ暗だろうが。
きっと無意味だと気づいていない仁王の行動が小さい弟たちと被って思わず笑いだしそうになった。
抱き寄せて、背中を軽く叩いてやる。

「怖くない怖くない、大丈夫」

しゃがみこんでいるから、仁王が随分小さく感じる。
力をいれて握られるシャツの胸の部分はきっとくっしゃくしゃだ。











丸井:あやす


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