風呂上がりで温まっていた体はもう熱いくらい。
いくら同じコトをされたって慣れる訳でもない。
自由になっている腕で顔を隠す。
自分で視界を奪っているというのに、突然襲ってくる感覚にびくびく怯えるしかできなかった。
「ま、だやるんか…?」
「んー?」
ちう、と吸い付くような音がする。
コイツの趣味は理解できん。
気分よく風呂から上がって部屋に入った瞬間、腕を引っ張られてベッドにどさり。
バランスを崩すように倒れ込むのだってきっと計算のうちなんだろう。
体を起こす前に足首を捕まれてしまえば、はい終わり。
「もういいじゃろ…」
「あかん」
視界は真っ暗。
きっとヤツは楽しそうに笑ってる。
べろり、と足首を這った感覚に背中が粟立った。
こうやって、風呂上がりに押し倒されてはナニをおっぱじめる訳でもなくひたすら足首を弄られる。
撫でたり舐めたり、吸い付いたり。
足フェチの考えるコトは俺には分からん。
ただ、慣れるもんでもなしに毎回全身が沸騰しそうなくらいの羞恥心でいっぱいになるのだ。
「知っとる?」
「…は、?」
「足首に着けるアンクレットっていうアクセサリがあってな」
話しかけてくる癖にその合間合間にキスをしてくる。
どちらに意識を向ければいいのか分からない頭は常に混乱状態。
「昔の奴隷の名残なんやて。俺のや、って」
なぁ、こっち見て。
呼ばれて腕をずらして目蓋を開く。
いつもの眼鏡のない姿。
力が入らなくなった足を少し上に持ち上げられて、長く長く口付けられる。
切れ長な目がこちらを見ていた。
嗚呼もう、
「俺 の」
体中が沸騰しそうだ。
足フェチに振り回される仁王