※ちゅーい、赤也視点






「(あ、)」

仁王先輩だ。と思ったけれど、駆け寄ろうとして思わず隠れた。
ふらふらしてるのかと思ったら、銀色が2つ。
先輩よりでかい。あれ。山吹中の、あー、あーあの亜久津とか言う人。

駅への近道なのに、あんまり人ほ通らない。
中華屋の換気扇の真下を通るから、独特な臭いがして嫌なんだって。
ただでさえ暗いし、確かに人は通らない。

「(なにやってんだ?)」

背の高い亜久津さんを見上げる仁王先輩。いつも通りに、目付きが悪い。
喧嘩?



ごろん、と中華屋の換気扇が回った音と一緒に、

「っ!」

仁王先輩が白い学ランの胸元を引っ付かんで、

「(き、キスしやがった…!)」

頭ちょっと高い亜久津さんの唇にキスをした。
ぱっとすぐ離れたけれど、まさかのシーンに、心臓がどきどきする。
だけど、嫌な感じはしなかった。

今度は亜久津さんの腕が仁王先輩に伸びて、

「(うっわ…)」

さっきみたいな一瞬のキスじゃなくて。頭と腰に腕を回してキスしてる。

あ、アメリカン!いや、バカなコト言ってる場合じゃない。
やたら長い。
舌とか、入ってるのかな。気持ち、いいのかな。ごくりと唾を飲み込んだ。



しばらくして解放されると、仁王先輩がひとつ肩パンを食らわして2人は路地の奥に消えていった。
なんとなくその場から動けなくて、そっと自分の唇に触ると、ぴりっとした。











キッシングなんちゃらは、オス同士でちゅっちゅする(ように見えている)。

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