はーっと息を吐くまでもなく、これは
「寒い」
骨の髄からなんて言葉がぴったりすぎて縮こまる。
顔を伏せる前にびゅお、と風が吹いて降ってきた細かい雪がクリーンヒットした。いたい。
「仁王も一緒に雪だるま作らんとねー!」
きゃいきゃいと子どものようにはしゃぐ大男を見る。
連れ出されたと言って語弊はない。
いーぬは喜び 庭かけまーわる ねーこは炬燵で丸くなる。
猫体質である。炬燵で丸くなっていたい。
ぎゅっ、と膝を抱えて少し。
ちろりと顔を上げると腕に雪が積もっていた。
雪玉を握りながら千歳が近寄ってきて笑う。
「頭に雪積もっとう」
雪だるま!
多分、頭にも雪が積もっているのだろう。
千歳の手から雪玉を奪って投げつけた。
「なにするとね」
「さむい。あっためろ」
立ち上がって前が開きっぱなしのコートの中に入り込む。
はしゃいでいたからか、体温が高い。
手を広い背中に回すと、冷えきった指先が溶けた。
ぎゅっぎゅっと熱を奪うように抱きつく。
「むぞらしかー」
ぱさぱさと髪に積もったであろう雪を払われる。
びゅお、と風が吹いた。
まだ雪は降り続けているから視界がよくない。
もう少し、こうやって暖をとろう。
デレ仁王