「あれ、仁王今日誕生日なの?」
これやるよ、と仰々しく左薬指に嵌められたリング状のスナック菓子を間髪入れずに胃に納めた。
ポリポリポリ。
コンソメ味うまい。
「おい、俺からのプレゼント速攻で食うとか、失礼だろぃ」
「プレゼントにスナック菓子指に嵌めるとか、頭オカシイだろぃ」
「真似すんな!」
「ぷぴーな」
ブン太の手元で展開されているお菓子たちの中から、さっきのスナック菓子を袋ごと引き寄せる。コンソメ味うまい。
あーもういいよ!とかなんとか。騒ぐのを脇にちょろっと見ながら、ひとつひとつ口に運んで、胃に納めた。
ポリポリポリポリ。
あ、アイツ、人の鞄勝手に漁っちょる。(今度、成敗。)
スナック菓子で腹が膨れた。
満腹、満腹。
「全部食うとか…、俺のお菓子」
「リングが俺へのプレゼントなんじゃろ。好きに食ったって、罰当たらん」
日頃あまり菓子なんて食わないもんだから、きっとブン太のヤツはびっくりして、凹んでいる。いい気味である。
コンソメ味の指を舐めた。
あー、携帯触りにくくなったか。
部活のメールが来るとかいうのを思い出す。
よくお前のケータイは、携帯としての役割を果たしてないと怒られるケータイ。
コンソメ味になっていない手で探す。
引っ張り出す、
「…意気地無し」
「黙ってろぃ」
付けた記憶のないボールチェーン。
引っ掛かるように垂れたシルバーのまぁるいソレ。
とりあえず、コンソメ味の指を綺麗に洗ってこようと思った。
直接渡す勇気が出ず。だけどちゃんとプレゼントする。