※暗いのが病的に苦手な仁王くんシリーズ(まだ続いてた)





天然と言えば聞こえはとってもよろしいが、

(こんのド天然)

それとも確信犯なんだろうか。
真っ暗にされた部屋で、ただただ目をつぶって、頭を抱える俺の隣。で、爆睡しているコイツに言いたい。
暗いのは嫌いだ。と何度も言っているのに、言ったそばから、ぱちり、なんて電気を消される。
情けない声を出して、無意味に頭を抱える隣で、悠々と寝息を立て始めるのだから質が悪い。
ふざけるでない。

目を強く瞑るのにも、頭を必死で抱えるのにもとても体力がいるものだから、いつも気づくと眠りに落ちている。
結果オーライなんて、そんなコト言ってやる訳がない。

今日なんて見てみろ。
部活がミーティングだったお陰で、体力が十分残ってしまっている。
寝れる訳がない。寝れない。
いつも通りに目を瞑って、頭を抱える。
じくじくと疲れが瞼や腕を襲うけれど、一向に止められる気はしない。
眠りたいのに寝れない時には、そうだそうだ。
呼吸を整えるのがいいと聞いたコトがある。

深く深く、

できるだけ眠っている時のように息をする。

深く、深く、深く、

「…仁王」

ふと、手塚の声が聞こえた。
蚊の鳴くような小さなものだから、きっと寝言なんだろう。
俺も早く眠りたい。

深く、深く、深く深く

「もう寝たか?」

答えはしない。
俺だって寝たい。
指先がじわじわと暖まってきた。
いい感じだ。
きっと、これで眠れる。

「好きだ」

呼吸は止めなかった。
すぐあとにモソモソ動いたのと、手塚の眠るような息づかいだけはしっかりわかった。

(こんの…ド天然!)

今日はやっぱり眠れそうにない。















手塚:寝たフリをして安心させる。

フォロワ様に捧げます。

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