※ツイッタよりリクエスト作品




ピィーッ

「才能か」
「ぷり」

その声だけが空しく音楽室に吸い込まれた。

音楽が苦手だ。

一番イヤなのは、これだ、リコーダー。
小学校の時は適当にピロピロやってれば、男子なんてそんなもんだろなんて言う諦めの眼差しで済んだのだけれど。

「合奏か」

音楽の授業で、全クラス合同の演奏会をやると言う。
こんな時のために出席日数を残しているほど優等生ではなかったわけで。
残念ながらどれも得意だったりしない俺は一番人数の多い、簡単だけどミスがバレやすいリコーダー係になってしまったのだ。
バックレようにも、これ幸いと今までの分を取り返すがごとく教師に監視される始末。
さっきの調子でリコーダーが変な音を立てた時の周りの反応ったらなかった。
穴に入りたい。

「上手くいかん」
「吹き込む息が、強すぎる。少し弱めてみろ」

なんとかすがりついた音楽教師は、他校。
あまりの不器用さにあの真田が部活を休む許可をくれた。
大したもんだ、俺のリコーダーの腕前は。

言われた通りに細く細く息を吐くと、今度はどうしようもなく頼りない、モヤシの毛みたいな音が出た。
がっくりと肩を落とす。

「極端だな」
「ぴよ…」
「弱い息から始めればいい。少しずつ強くしていけばいいだろう」

モヤシの音を出す。
ちょっと、またちょっと息を入れていく。
大分いい音が出た。
ゴボウくらいだろうか。

「できた」
「そうだな。次は音階の練習だ」

あれだあれあれ、ドとかレとか異常に難しいやつ。
ゴボウのまま指を当てようとしたけれど、いかんせんやり方が分からない。
ゴボウの音を出したまま、ヘルプ、と視線をやると、

「こうだ」

ッピィイイ!!

いきなり近くに表れて、いきなり指なんか触られて、どきどきしたもんだからまた変な音が出た。

(心臓が、どこどこ、した!)








お待たせいたしました…!!




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