ジクジクと足の先は冷たいし、体の芯から冷えきって、風なんて吹いたら最悪。
寒いのはどうしても好きになれない。(いや、暑いのも好きにはなれないのだが。)
縮こまるようにマフラーに顔を埋める。
はふ、と息を吐くと瞬間暖かいのにすぐに冷えて俺を苛めた。意地悪。

日が落ちるのも早くて真っ暗な通学路の街頭は誰も報告しないのかカチカチ不気味に光ってふと思い出したようにつくだけだ。
きっと冷たいアスファルトの上。
隣を歩く真田の鼻の頭も真っ赤だった。

「なぁ真田」
「なんだ」
「寒いなり」
「冬だからな」

そうやって話す真田の息も白かった。
そうじゃないそうじゃない。
心の中でムッとしたけれど、顔に出すのは我慢した。
やっぱり真田にロマンティックはひらがな表記に違いない。ろまんちっくじゃ。
きっとぷらすちっくと間違えてる。
手袋をしていない手をぶらぶらさせながらもう一度だけ試してやろう。

「寒いのぅ」

真っ暗なアスファルトはきっと冷気を出している。
だからこんなに寒いんだ。
よくよく声を聞かせるためにマフラーから顔を上げると歩くスピードで切った風が冷たくて凍えた。冷える。
目の前の真っ暗が今度はさらに真っ暗になって思わずビビって立ち止まる。
ぬっと真田の顔が目の前に現れたのだ。
目の前に、

「っ!」
「温かくなったか?」

ドコドコと心臓が血液を送り出す。

キスされた。

口許を抑える手が冷たかった。








空気読める真田


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