※ちゅー注意





「煙草がそんなに旨いんかぁ」

人の家の屋上でスパスパ煙草なんて吸いよって。
ふわふわ浮かぶ白い紫煙の出所に蹴りを入れた。

「ってぇな」
「このマンションほ禁煙じゃ。大家さんにバレたらどやされる」
「…ちっ、」

コンクリで消そうとするもんだからたまったもんじゃない。
 は い ざ ら !
大袈裟に言ってやると、もう一度舌打ちをされたけれど関係ない。
閉じられた携帯灰皿が音を立てた。

「死んでなかったのか」
「あぁ、おかげさんで」

青いなぁ、なんて空を仰ぐ。

死にそうになった時も、死のうと思った時も、こな煙草野郎が屋上にいるんじゃないかと思うと、何故だか死ねなかった。

体に悪い煙ばっかり吸いやがって。
コイツの肺は真っ黒だ。

「煙草、旨いんか」
「まずい」
「じゃろうな」

口の中も煙草煙草。
どこか煙くて苦い舌は苦手だった。
だけど、

「亜久津、キス」
「…、」

コイツもするキスは好き。
生きてる動機が不純すぎてごめんなさい。










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