※ちゅー注意





「狂気の沙汰じゃ」


仁王の脚に舌を這わせて、吸い付いていると、頭の上からぼんやりとした声が降ってきた。


「文句いいなや」


最初こそ嫌がっていたものの、もう慣れたもんだろう。
また顔を寄せると、髪を引っ張られた。痛い。


「違う」

「なにが」

「別に変態趣味を言ってるんじゃなか」

「は?」


いや、今何気に失礼なコトを言われた気がしたんだが。
今度は腕を引っ張られてソファに座らされる。
細い腰を引けば、俺を跨ぐように上に腰を下ろした。


「なにが違うん」

「キスじゃ」


キス?
訳も分からずに首を傾げる。
して欲しいんかな、なんてこちらに寄せようとすれば拒否られた。ひどい。


「なんの話や」

「キスじゃよ、キス。接吻!」


オレンジの照明の色を吸った銀色を撫でながらもう一度首を傾げた。
あぁ、


「グリルパルツァか」

「ぷりっ」


満足げに鳴いてみせるものだから少し笑った。
…すぐに頭を叩くのはなんとかならないだろうか。痛い。


「なんや、仁王もロマンチストやなぁ」

「お前さんには負ける」


俺は恋愛小説なんて読まん。
2人して少し笑う。




夜鳴く虫も替わった。
一瞬周りの音が死んだ。


「男はな、ロマンチストなんじゃ」

「ん?」


尖った空気を破ったのは仁王だった。
くっ、と首の後ろに腕が回ったのが分かった。
買い替えられないアナログ時計の針がかちり、と音を立てて進む。
今日もあとちょっとで終わる。


「のぅ忍足、」


すっ、と近くまで寄った仁王と近距離で目が合った。

そして、

「誕生日おめでとう」


長く長く愛情のキス。









忍足さんお誕生日おめでとうございます!


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