※子猫仁王パロ


「おにいちゃん、おにいちゃんっ。見てください!」

妹の興奮した声でふと目を覚ました。
冬独特の冷たい朝の空気にぶるりと震える。
ドアを開けて早く早くとせがむ妹に連れられて窓にしがみついた先、

「雪…ですね…」

神奈川には珍しくふわふわと白いそれは見た目優雅に舞っていた。
小さい妹にはそれが新鮮なものであって仕方ないらしく、きゃっきゃと喜んでいた。
そういえば、今頃彼はどうしているのでしょうか。
ふと、どこかから名前を呼ばれた気がした。

こつん、

雪が窓に当たったのか、控えめな音がした。
そうだ、朝なのだからカーテンくらい開けようか。
勢いよくカーテンを左右に割れば、カーテンと窓との隙間に溜まっていた空気にぶつかって寒かった。
ふ、と下を見て固まる。
雪だるま、なんて洒落を言っている場合ではない。
窓の近くでちんまりと丸まる何か。
いそいで窓を開ければ、

「や、やぎゅーの寝坊助…!腹減ったなり!」

銀色の髪にふんわりと雪を積もらせ、耳はぺったんこ、まるっと膝を抱えた彼がいた。
抱き上げて家の中に入れたその小さな体は震えていた。
タオルでがしがしと乱暴に拭けば、中から止めんしゃいやめんしゃい、と小さな抵抗。
大概に拭きおわったころ、彼はむすっとした顔で、

「あったかい牛乳が飲みたいのぅ!」

こう言った。
そうですね。いつもよりあったかく、たくさん差し上げましょうか。
その言葉に彼の尻尾だけが素直に反応した。





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