※ちゅー
仁王くんは学校でキスをしたがらない。
柳生はやたらに学校でキスをしたがる。
「だ、から…っ、やめんしゃい、って」
綺麗そうに見える(そう思ってないとやってられない)カーテンに押し付けられた。
いくら放課後だからって、誰かが通らないなんて確証はない。
バレたらどうするつもりじゃ。
突っぱねていたはずの腕がずるりと外れて、柳生とキスをした。
よわっちいカーテンレールが鳴く。
捲れたカーテンの向こう側に、赤い髪と黒い髪が見えた。
「や、ぎゅう…っ、人きちょる…!」
「2階です。バレません」
それだけ言うとまた口を塞がれた。
外から見たらどんなに不思議な教室だろうか。
風もないのにカーテンが暴れるなんて。
どうしようどうしよう、バレたら、どうしよう。
なるべく動いてしまわないように柳生のワイシャツを握りしめた。
息が、出来ん。
もしかしたら誰か来るかもしれない。
分かってるくせにそうする私は、実は紳士なんて小綺麗なものじゃないかもしれない。
閉まった窓に押し付けるように、カーテンごと仁王くんを掻き抱いた。
教室のドアは開けっ放しだし、まだ放課後も更けきらない。
ここでもし女子生徒が、先生が、はたまたレギュラー陣がこの光景を見たらどう思うのだろうか。
少 ししか違わない体では、隠してやろうなんて到底無理な話で。
特徴的な銀色はきっと誰もがすぐにわかる。
軽蔑されるだろうか、迫害されるだろうか。
いや、彼と一緒なら、もういっそ、それがいいのかもしれない。
不安そうに呟く言葉と彼自身を、食う。
久しぶりがこんなんですみません。