※エロ、仁王猫パロ



べたべたと俺の体の上を這っていたでかい手。
止めろというのに、毎回毎回ヤなヤツじゃ。

「もう、えぇじゃろ…?、離しんしゃい」
「ん?離さんとよー!」

ぎう、と後ろからのハグ。
こんなでかい体して、でかい手して、でかい足して、でかいナニして、なんでこんなに動きは繊細なのか。
悔しくて悔しくて唇を噛んだ。

「唇噛んだら血ぃでるたい。はい、あーん」

ふと離された左手が少し尖った牙を撫ぜて、無理矢理に口を開かせた。
突っ込まれる2本の指に絡めとられた舌。
でろり、と唾液が伝った。

「雅治、ほら。鳴くばいー!」

にゃあ!なぁんて、お前が言ってどうする。
はふはふと息をするのが必死な俺が鳴けるはずもなく。
千歳だけが、にゃあにゃあと鳴いていた。

「なぁんで鳴かんのかねぇ?」

お前が口から指を抜けば問題は解決する。
そう言おうにもねとねとと絡ませられる舌。
開けば声の代わりに唾液が垂れた。

「あっ!」

何かよいコトでも思い浮かんだのか、耳元ででかい声がして思わず口に入った指を噛んでしまった。
いや、軽くじゃ軽く。
そんな言い訳も必要ないのか、なにか楽しげな千歳を肩越しに見やった。

「鳴かぬなら鳴かせてみせようホトトギス、ってな!」

声に鳴らない悲鳴が、鳴き声が出た。
逃げられない一瞬。
突き抜けた感覚にただただ揺さぶられた。
頭の先に稲妻でも打ち込まれたようにがくがくと震える。

「ほぅらっ、いい声で鳴きなっせ…!」

地に足が着かない感覚が気持ち悪い。
ふらふら、がくがく。

「にゃ、ぁああっ!」

猫の一鳴き。
良すぎる耳は下品な音を捉えたし、良すぎる鼻はむせかえる臭いを捕らえた。

「もっと、もっとばい!」

にゃあ、と鳴き声にならない鳴き声を漏らした。





×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -