※まさはるくんシリーズ、合宿所
ベンチに座ろうとして気づいた。
「おい、大和よ。ありゃあなんだ」
「はい?」
黄色い塊から銀色が少し生えたような丸いもんが落ちている。置かれている?
ひょっこりと首だけ伸ばして見ていた大和がそっとそれを押した。
「ぴよっ!」
ころんと転がったそれから唐突に音が出るから思わずびびる。
おいおい、なんだってんだよ。おどろきのろきだ。
まん丸タイムマシンの蓋が開くように銀色が持ち上がった。
「なにすんじゃー!人がせっかくおひるねしとったんにー!」
「ははっ、これは失敬。猫さんでしたね、外道お兄さん」
飛び出たのは所謂猫耳と言うやつか。
もそもそと黄色いが揺れると、こりゃ驚いた。
まるで5歳児じゃあないか。
「おいっ、そこのメガネんぼ!おれのおひるねジャマしてぇ!」
ぷりぷりと怒るソイツを摘み上げた。
見れば見るだけ、おも面白いヤツだ。
ばったばったと暴れるからもといたベンチに戻してやる。
そういえば、鬼の野郎に渡された煮干しがあったか。
小さなビニール袋から2、3匹取り出して紅葉饅頭みたいなその手に置いてやる。
「おや、外道お兄さん。これから試合ではないのですか?」
「おーう、」
ぽかん、と間抜け面して見上げてくる猫擬きの頭を乱暴に 撫でてラケットを担ぐ。
「しましまっていくぞ」
試合後に振り返ると何故か猫擬きが後ろを歩いていた。
(「おいっ、そとみちっ」「そーとーみぃーちぃー!」「…なんだ猫擬き」「おさなか!おさかなくんしゃい!」「(餌付けしてしまった)」)
まさはるくんとなかがうちさん、やまとさん