※子猫仁王




にゃあ、ふと甲高い声がして。

「なぁ、お前さん」

ふと見やれば銀色の耳と尻尾を持つ小さな男の子が足元にいた。
一瞬だけ視線があった後、ふいっと彼から視線を逸らして歩き出せばちょこちょこと着いてくるのがわかった。

「な、なぁ!ちょっと待ちんしゃいよぅ!」

また動物に懐かれてしまった。
母にどうやって説明しようか。
これまでに何匹の動物を連れて帰って怒られたコトか。
ふぅ、と溜め息をついた直後、

「ぴよ…っ!」

奇妙な鳴き声とべしゃりという嫌ぁな音。
立ち止まり振りかえると、

「ぷ、り…っ」

その大きな瞳いっぱいに涙を湛えた彼がいた。
あ、零れた。

「うわぁぁあああんっ!」

それをきっかけに大きな声がそこら中に響き渡る。
慌てて彼を抱きかかえると、シャツをぎうと握りしめて痛みに耐えているよう。
急ぎ足で自宅に向かった。



その後母に怒られたのも事実。
そして、何故か

「やぎゅー!やーぎゅ!」

野良猫のまま、ご飯だけを強請りにくる彼がいたのも事実。




続くんじゃね?←


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