※殺人衝動


桜が綺麗だ。
げほり、と噎せてもなお、喉を締め上げる手は緩まない。
おえ。

「桜が綺麗、ですか?」

薄らぼんやりしてくる意識の中で、瞬きでその問いに答えた。
綺麗だ、綺麗じゃよ。
真っ先に咲いた桜、おい季節外れ。
そう言おうと思ったが止めた。

「もう待てなかった」

おえ。さらに力の掛かった首。
酸素が消えていく体。
あー、桜が遠い。
普通のそれより色の濃い、早咲きの桜の下で、

「愛してるんです」

俺はその濃色の糧となる。





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