※異常愛



目隠しは存外強靭で、光を一筋だって通さなかった。
泣きながら這いずる俺は全くもって相当不様。

「参謀、参謀…」

ぺたぺたと手で前を探るが、どうしたって何にも当たらなかった。
なんて恐ろしいものをつけてくれるのだ。

ここが一体どこだか分からないし、
今が昼なのか夜なのか分からないし、
ここが室内なのか屋外なのか分からないのだ。

「許して、許してくんしゃい、」

許してくんしゃいよぅ、
惨めだ、
哀れだ、
呼吸をする音すら聞き取るコトが出来ずにただ泣いた。

「参謀、参謀…っ、柳…!」

ぺたぺたと手をついて、四つん這いで這いずるだけ。
まるで浅ましい動物のよう。

「柳、柳…!大嫌いなんて嘘なんじゃ…っ」

柳、柳、どこにおるん。

汚らしく泣く俺は嫌い?
動物みたいな俺は嫌い?
嘘吐く俺は、嫌い?

えぐえぐ、と泣けば、背中に衝撃が走った。
踏 ま れ た 。

「仁王、嘘吐きはなんとかの始まりらしいぞ」

ぐりぐりと踏まれて、痛い!
なぁんて嘘。





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