おっさんの肩に頭を乗っけると、大人とは思えないあったかさ。
あーあー、眠い。

「雅治ぅー、そこのペットボトル取ってぇー」
「いやじゃ、自分で取りんしゃい、おっさん」

うつらうつらしかけた中で隣からアホっぽい声。
俺の安眠、返しんしゃい。

「ええ〜。オサムちゃん、口ん中煙草でからっからなんやけど!」

こんのヘビースモーカーが。
改めて気づいてわざと咳き込んだ。
スポーツマンの横で何してくれるんじゃ。
ぎりぎり手を伸ばして取れたそれを顔面目掛けて振る。

「おぉっ、おおきに。そんな雅治に1コケ、」
「いらん」

なんやてー!なんて可愛い子ぶるな。
胡散臭い髭面の直前で止まったペットボトル。
上下に動くその喉を上目に見た。
おっさんの方が喉仏が出てる。
なんだかエロい。

「おっさん、」
「ん?」
「いつ帰るんじゃ?」
「あー…、明日?」
「あっそう」

大会の付き添いでしか来ないおっさん。
そんなんが好きとか、ヤダ、俺めっちゃ乙女ぜよー。

「なんや?嫌なん?」

おっさんの余裕。
なぁんだかムカつく。
大人は大人ってか。
じゃあ、

「いやじゃ」

子どもは子ども。
おっさん驚いたかな。
いっつもいっつも捻くれ小僧じゃないんじゃよ。

遠いのぅ遠いのぅけむいのぅ、

よよよ、なんて泣きつく真似をすれば頭を叩かれた。
これだからおっさんは。





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