※500hit Thank you!潮様へ



「仁王、帰るぞ」

目を閉じて、眠ったフリをする。
さぁ、今日こそ。
うっすら意図的に開いた唇が官能的じゃろ?エロいじゃろ?
さぁ、食ったってえぇんじゃよ。

「おい仁王。…寝ているのか?」

さぁ早く。
キスで目が覚めるのがセオリー。
待った。

「起きろ」

ぐわりっ揺れた体に思わず目を開く。
な、なんじゃ!





「なんだ仁王。何か言いたいコトでもあるのか」
「ぷりっ」

馬鹿、あんな起こし方があるか。
思いっきり肩を揺さぶられたこちらの気持ちになってみろ。
キスを期待した俺の気持ちになってみろ。
少しは甘い雰囲気くらい出せんのか。
憤慨しながらローファーを鳴らす。
誰がロマンチストな生き物だって?
きっと真田は別の生物に違いない。

「おい仁王」
「…」
「おい!」

がっ、と肩に痛みが走る。
真田にひっくり返された体。
ふん、真田なんか知らん。
ロマンってヤツを分かっとらん。

「言いたいコトがあるなら、」
「真田は何も分かっとらん!」
「は、」

男はロマンチストなんじゃ。
真田は別の生き物だって、俺はれっきとしたオトコノコ。
ロマンチストなんじゃよ。

「キスしてくれたっていいじゃろ!」
「き、?!」

すぐに真っ赤に染まる顔。
まるで女の子がするように顔を隠す手を奪った。
掌に唇を、

「なっ、」

押し当てる。
ぎゅむ、と離れないように。
しっかり、と真田を見ながら。

「キス、してくんしゃいよぅ…」

ぽろり、と

「…接吻」

真田の口からそんな言葉が漏れた。




(グリルパルツァー『接吻』より)




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