「やめんしゃいっ!そんなにしたら苦しいなり〜」
向こうからやたら騒がしい声が聞こえてきた。
きゃっきゃと笑い声がやたら廊下に響いた。
あぁ、ブン太に赤也に仁王か。
全くアイツ等はいつまで経っても騒がしい。
なぁんて言いながら案外羨ましかったり。
思わず自分を笑った。
「お!仁王!幸村くん来たぜぃ!」
「幸村部長ー!俺たちからのプレゼントっす!」
ぽいっと仁王を捨てるように俺の前に押し出すブン太と赤也。
ニヤニヤしちゃって。
全く何がしたいんだい?
「ほら仁王!早く言えよ!」
「先輩はやくー!」
仁王の後ろでまた大爆笑が起こった。
「ぷりっ!」
目の前の仁王もなんだかニヤニヤ。
全く、気味が悪いなぁ。
「幸村幸村、」
ちょいちょい、と袖を引かれて。
目をやれば何故か背中を向けた仁王、
「幸村に俺をプレゼントじゃ!」
銀色の尻尾の真下で拘束違反の水色のマフラーが大きな蝶々結びになっていた。
ブン太と赤也と仁王がまた大きく笑った。
笑う度に水色のマフラーが揺れる。
ケラケラケラケラ、
今度は羨ましくなかった。
ぷちん、
「じゃあ遠慮なく」
「え、」
後ろから仁王のウエストに腕を回して引っ張った。
空き教室は、どこかにあったかな。
「ちょ、ちょ!幸村?!」
「お前が言ったんだから、いいんだろ?」
ぽかん、と俺と引きずられる仁王を見送るブン太と赤也に感謝した。
良いものをくれるじゃないか。
自分の中で切れたのは、
「俺のプレゼントなんだから、ナニしてもいいんだろ?」
理性。
青ざめた仁王の額に唇を落とした。