※暗いのが病的に嫌いな仁王くんシリーズ(にしたい。)





バツン、

「うぉっ、停電?!」

いきなり大袈裟な音がして部室が真っ暗になった。
急に真っ暗になるもんだから、心臓が一瞬でドキドキと大きく鳴っている。

懐中電灯ってどこにあるんだっけ?
柳さんとか真田副部長とかに聞いておくんだった。
きっと綺麗に片付けられてるはずだから、下手に探して見つかりっこない。
タイミング悪く柳さんも真田副部長も、幸村部長も丸井先輩も柳生先輩もジャッカル先輩も先に帰ったばっかだ。
あ、

「仁王先輩、懐中電灯ってどこにあるか分かります?」

そうだ、部活終わりから机に突っ伏して寝ていた仁王先輩がいた。
さっき丸井先輩が帰る時に突っついて起こしてた(「おい仁王、また明日な」「プリィ…」ものすごく眠そうだった。)から、今丁度着替えていた最中だったはず。
3年生だからきっとどこに懐中電灯がどこにあるか知ってるはず。ラッキー!

ブレーカーってどこにあるんだろ、なんて考えていたのに仁王先輩からの返事は一切ない。
もしかして着替えながら寝た?
感覚で先輩のロッカーまで摺り足で進む。
コツン、と靴の先に何ががぶつかったから立ち止まってしゃがんだ。
大きさはどうやら人が床に座っているらしいサイズ。きっと仁王先輩。

「先輩?」

寝ているのかと思ってぼんやりと見え始めた視界で肩を叩く。
そこでようやく先輩の様子が可笑しいのに気づいた。

ハッハッハッ、ハッ…、
なんて不規則すぎる呼吸の音がはっきり聞こえた。過呼吸みたいだった。
バラバラな呼吸の間に、怖いだの助けてだの、仁王先輩から聞いたコトのない言葉が出てくる。
またペテンか!なんて思える余裕がないくらいに仁王先輩の様子は異常だった。

「先輩!」
「いやぁっ、助けてくんしゃ、い…っ!」
「先輩、こっち見て!」
「暗いのいやじゃぁ…っ、いやっ、」
「ーっ!先輩!」

埒があかない!ええい…!
握り締められてぼんやり真っ白な先輩の手を上から包むように握った。

「仁王先輩っ、俺ッス!こっち見てくださいよ!」
「っ、あか、や…っ?や…っ、一緒に、おって…っ。こ、わい…!」
「大丈夫ッスよ、絶対離しませんから」

指先が恐ろしく冷たかった。
懐中電灯もないし、見回りのおっさんが来るまで我慢するコトにした。














赤也:手を握る。


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