※ちゅー注意







負けたんだ、終わったんだ。
そう思うと、あれだけ泣いたはずなのに、また涙が出てきて袖で何度も拭った。

「だっせぇ」
「…何しに来たんスか」
「テメェを笑いに来たに決まってんだろ」

女々しいヤツ!
ゲラゲラ笑いながらこちらにやってくる赤いジャージは、心底胸くそ悪い。

「テメェが弱いから負けたんだろぉが。びーびー泣いてんじゃねぇよ」
「ショーゴくんだって負けたじゃん…」
「オレは、負けようがなんだろうが泣かねぇし」

キセキの世代が聞いて呆れるぜ。
そうやってバカにしてたって、お前だって一緒じゃないか。心の中ではそう思っていた。

赤いジャージ。
中学時代にそんな色の服着てるの、見たコトないッスよ。
オレらに負けた癖にまだその赤いのを着てる。それが何よりの証拠だ。
反論しようがしまいがどうせショーゴくんは絡んでくる。
どうしてやろうか、とぐるぐる考え込んでいる間に、どうやら目の前まで来ていたようだ。

「慰めてやろうか」

全く嫌な笑い方だ。
カメラに向かってはいチーズ、とか出来ないんだろうか、この人は。
顎を捕まれて無理に視線を合わせられる。
目元が赤いのは、もうバレてしまったに違いない。

「いい、要らない」
「遠慮すんなって」
「そんなんじゃないし。離してよ」

帰る。アンタも帰れば。
ショーゴくんは一瞬も表情を変えなかった。
いや、そうじゃない。驚愕や落胆をしなかっただけ、もっともっと悪い顔になった。

「素直な方がモテるぜ、リョータ」

ぢゅう、と下品な音がした。呼吸が苦しい。
マウストゥマウス、要はキスされた。
わざと立てた音も下品。
ショーゴくんだけ瞼を閉じたってコトもチープだ。下手くそ。
痛いくらいの力で、先から捕まれたままだった顎を引かれ、口が開いた。
ぴちゃぴちゃと食われる舌も何一つ感じるところはなかった。
ぷっつりと舌と舌を繋いだ糸が切れたのは、満足顔のショーゴくんが見えた時だった。

デリカシーはないし、空気読めないし、キス下手くそだし、いいとこなんてなにひとつない。

「まぁ、優しいオレが、可哀想なリョータくんを慰めてやるよ」

べぇ、と出した舌はさっきのキスのせいかテラテラ光って見えた。
真っ赤。舌も、ジャージも真っ赤だった。

「嘘つき」

オレもコイツも、似た者同士だ。













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