いつもは気にするコトないような。些細なコトだ。

「なんスか…、人のコトじろじろ見て…」

あまりにもじっと見ていたからか、気味悪がる黄瀬に、なんでもねぇよ、と悪態を吐いてベンチに腰を下ろした。
それでも頭にかけたタオルの隙間から着替え始めた黄瀬を見てしまうのは、仕方がないと思う。



最近CMにも出るようになったんスよー、そんなコトを前に聞いた気がする。まぁ、もちろん忘れていた訳だが。
昨日なんとなしに回したテレビの画面にぱっと黄瀬が映ったのだ。
一瞬ぎょっとしてリモコンを落としそうになったが、なんとか持ち直して画面を見ればやはりそこには黄瀬がいた。
しかしなんだって、




「(下着のCMなんだよ)」

部活終わりで汗まみれになった黄瀬は当然のように練習着を脱ぎ出していた。
昨日画面で見た色の白い肌と筋肉。
それが目の前にある。
思わずまたじっと見つめている自分に気づいて我に返った。

男の裸なんざ、興味ねぇ。おっぱいもねぇのになにが面白いっつーんだよ。

タオルの上から頭をがしがしと掻きながらそう唱えてオレも着替えよう、と立ち上がった。

「…っな、」

乗せていたタオルが落ちた。黄瀬が振り返って、何だ、と首をかしげている。
が、それどころじゃない。

「お前…っ、なんだよそれ…っ」
「はぁ?それって?」
「ぱ、ぱぱぱ…」
「あぁ、このパンツ?」

撮影したやつ貰ったんスよー。
体に張り付くみたいに薄いゴム口に指を突っ込みながら言うもんだから、今度こそ頭を抱えてしゃがみ込んだ。
青峰っち?なんて言いながらどうやらこっちに近づいてきたらしい。やめろやめろ。
昨日の画面の中の黄瀬は、コンセプトなのか知らないが、やたらエロい目をしていた。
汗なのか水なのか分からないが、濡れた体と挑発的な目。

それがどうだ。バカ丸出しな顔を除けば、昨日のそれとなにもかも一緒だった。
動揺しまくっているオレに気づいたのか、黄瀬がくすくす笑う音がした。

「なぁに。もしかして、CMのオレ見てドキドキしちゃったんスか〜?」

ちろり、と視線だけ上げる、
くそが、

「う、わっ!」
「ぜってー許さねぇ」
「えっ、えっ?!青峰っち?!」

じょ、冗談に決まってるじゃないッスか〜!
慌てて取り繕っても無駄だ。
さっきかち合った視線は昨日のそれよりも100倍くらい厭らしかった。
床に押し倒した黄瀬の上に被さる。
悪い顔をしてるんだろうな、とは思ったが全部コイツが悪い。
そう結論付けて汗が拭いきれていなかった鎖骨を舐めあげた。

















モデル黄瀬を見た時の反応ー青峰

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