※献上品のため黄瀬攻め











ピンポーン、

「どーも!みんなのアイドル黄瀬りょ、」
「人違いです」

重い体を引きずりながらやっとの思いで玄関を開けた瞬間に嫌いなヤツの顔を見るほどオレはどMではない。
ガッと足を入れ込まれてドアを閉めるのに失敗した。

「やだなぁ、コイビトの顔も忘れちゃったんスかぁ?」
「違います、本当に違うんで帰ってください」

リョータはそのままニコッ(多分女だったら鼻血噴いてぶっ倒れてるんだろうが生憎。)と笑って、ドアを無理やり開けて侵入してきた。
頭が、痛い気がする。(精神)

「なんで来た」
「ショウゴくん風邪だっていうから」
「見舞いとか要らね、」
「笑いに来た」
「やっぱお前帰れ」

アハハッと指を差して思い切り笑っている黄色い頭をぶっ叩いた。
本当性根腐りきってやがるコイツ。
こちとら風邪でグロッキーもいいところだ。
不摂生が祟ったんだろう。おかげで今はスーパー健康体な生活をしている。睡眠的な意味で。

「どうせ何も食べてないんでしょ」
「独り暮らしなんだから自分で作らねーと何もないんだよ」
「オレだって独り暮らしだし」
「お前女いるだろ」
「はー?誰かさんと一緒にしないでくんない?」

ひらひらと片手を振りながら台所に侵入。だから勝手に入んなって。

「ショウゴくん可哀想だし、オレが特別に手料理出してあげるよ」
「いらね」
「大丈夫安心して。ちゃんと隠し味でヒ素とか入れとくから」
「安心できる要素が一つもねぇな」

馬鹿か、死ぬわ。死ぬとか物騒なコト言わないでもらえますー?お前が死ね。頭空っぽかよ。



なんだかんだ手際がいい。口を動かしつつも手も動く。
形を変えていく食材を見ながら素直に旨そうと思った。(コイツがいなければ完璧。)
ぎゃいぎゃい言い争いをしたせいか、頭がボーッとする。
ゲホ、と咳き込むとリョータの視線が刺さった。

「移さないでよ?」
「じゃあ帰れ」
「人の好意は受け取っとくもんスよ」
「…あっそ」

そこらに置きっぱなしにしていたマスクに手を伸ばす。
苦しいから嫌いだ、マスクは。
部屋も汚いし、換気とかもしていない。埃っぽい空気をモロに吸いこんだのか、ゲホゲホとむせ返ってしまった。

「ショウゴくん」
「あ?…治まるまで待っ、」

なにしてんだコイツは。
閉じるんだったら閉じればいいのに、伏せる程度の眼が目の前にあった。
リョータが離れた瞬間にその場にずるずると座りこんでしまった。

「病人は大人しくしてて」

ピッと指を指して再び台所へ戻っていく姿を見て大きくため息を吐いた。
…だったら大人しくさせてくれよ。











下手な鉄砲も数撃ちゃあたる献上品パート3

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