「いったいなぁ、」
「テメェがじろじろ見てくるからだろぉが」
「はぁ?自意識過剰って言うんスよ、そーいうの」
サボった分のペナルティだとかなんだとか。ボールを倉庫に入れて戻ると、部室にはリョータしかいなかった。
ずっとこっちを見てくるもんだからムカついて蹴りを入れると、サイッテーなんて女みたいなリアクションで返ってくる。
なんでテメェは残ってんだよ。
ショウゴくんには関係ないじゃん。
いつも通り、顔面を引き立てるように着られた制服に汗もついていない。
着替えてから随分時間が経ってる、それは分かった。なんでか?そんなん知るわけねぇし。
蹴り飛ばした後だってのに、ちらちら送られる視線に苛立ちは鰻登りだ。
さっさと帰れ、そう言おうとして、閃いた。
「そんなにオレのコトが好きかよ」
「…はぁ?」
「女々しいコトしてんじゃねぇよ、似合わねぇ」
「だか、」
「オレのコトが好きなら、」
「死ねよ」
そんくらい、好きなら出来るよなぁ?スキモノの、アマノジャクの、
「リョータくんはよぉ」
少しの沈黙のあとに、リョータは鼻で笑ってバカにしたようにオレを見た。
「なんでオレがショウゴくんのために死ななきゃなんないワケ?」
イミワカンナイ。
忠犬よろしくテツヤになついている姿からは想像もできない、刺し殺せそうな視線が飛んでくる。
「せいせいすんだろ、」
オレが。
さぞかし気味の悪い笑顔だろう。
それだって、お相子程度か、それ以下だ。
ふーん、とバカに納得したような声。
「いいや。ショウゴくんが嫌がるなら、」
「いつまでだって生きてやるよ」
やっぱりこいつは最低だ。
暴言吐きつつ嫌い合いつつ。