※えっちめ(ノット性行為)
「…なんスか」
あまりにもジッと見すぎたのか、雑誌を読んでいた黄瀬が顔をあげた。
露骨に気味悪がっている顔にイラッと(いや、ムラッと?)来て、そのまま床に押し倒した。
「ちょっ、と!退けよ!」
「退く訳ねーだろ」
「なに?!意味わかんねーんスけど!」
きゃんきゃんきゃんきゃん騒ぐ黄瀬の服を思いきり捲りあげた。
なにもない。白い肌と筋肉と骨の筋だけ。あとは何もない。
手を離してぽりぽりと頬を掻けば、雑誌で頭を叩かれる。
「いってぇな!なにすんだ、てめぇ!」
「それはこっちの台詞だ、バカ!」
バカって言った方がバカなんだバーカ!青峰っち、バカすぎんでしょ、やっぱキングオブバカだわアンタ。ほざけ。とりあえず退けよ!やだね!
「も…、何なんスか…」
アホみたいな言い争いのせいで少し呼吸が乱れた。
オレが上に乗っているせいで起き上がれないのがわかっているからか、オレの頭を叩いた(その前は黄瀬が読んでいた)雑誌で顔を隠してしまった。
「別に。キレーな体してんなって思っただけ」
「は、ぁ…?」
真ん丸に見開かれた目だけがこっちを見た。顔、赤すぎだろ。
自分の発言を振り返って、はたと気づく。
ものすごく恥ずかしいコトを言ったのでは。
「あー…、いや、そーじゃなんて、」
首を傾げる黄瀬に、いや、本人に聞くのはどうなんだろうか。まぁ、いい。
広告のアレ、なに?
黄瀬が来る前に読んでた雑誌に黄瀬がいた。(変な言い回しだが、)オレが少女漫画なんて買う訳がないし、強いて言えば、そう、オトナの読み物を読んでいた訳だが。
「んだよ」
「別に…」
完全に機嫌を損ねたらしい。
ふい、とそっぽを向いた姿を見て、やってしまったと思ったが今さら遅い。
カラーで印刷された広告はでけー胸の女が写る、真裏にあった。 何を宣伝したいのかは分からなかった、興味もなかったし。
それよりも目を引き付けられたのは、浮き出た骨盤を装飾するような模様。
惜しげもなく曝された上半身と、辛うじてついている程度の下着と、それから目立つ模様。
場所も場所で、それになにより、
「お前エロすぎ」
「黙れエロ峰」
見せつけるように腰を捻る姿に興奮しなかったとは、どれだけ繕っても言えない。
それがどうだ、(いや、分かってはいたが)家に来た黄瀬の白い腰にはなんの模様もなかった訳だ。
見慣れた腹と腰を撫で上げると、びくんと黄瀬の体が跳ねた。
「やだ、やめろ」
「言ってるワリに、興奮してんだろ」
「…」
もう一度逸らされた顔はさっきに増して赤く染まっていた。
押し付けるように心臓の上に手をおけば、それは早鳴りしている。
身を屈めて、真っ白な骨盤に吸い付いた。キレイに赤く残るもんだ。
指でなぞって関心していれば、背中になにかが回る。
「なにすんだよ」
「…青峰っちのせいッスよ」
「は?」
ぐっ、と体を近付けたせいでピンときた。
背中に回ったのは、無駄に長いコイツの脚で。
「おい黄瀬」
震えるように首にすがりついてくるコイツは、オレにとって
「ヤらせろ」
興奮材料しか持たない。
モデル黄瀬を見た青峰。淫紋的な。