定期テストの次は文化祭。我がクラスはお化け屋敷をすることになり、大道具や衣装作り、屋敷作りと大忙しになった。わたしは目立たないお化け役になり、白いワンピースに腰まで長さのあるカツラを被って貞子もどきをすることにした。黒子くんもお化け役。小池くんは大道具、屋敷制作で、当日は客の呼び込みをすることに。始めはやる気のなかったクラスメイトたちも文化祭の日が近づくにつれて士気を高め、盛り上がりを見せてきた。わたしも邪魔にならない程度にクラスに貢献しよう・・・!

放課後、時間のあるクラスメイト達が集まり、部活やら委員会やらが忙しい人の分も衣装を作ったり、暗幕作ったり、大道具作ったり、屋敷を作ったりしていた。黒子くんは衣装どうするのかなと思い、聞いてみたら「任せてください。真っ白なシーツを被ってお化けになりきって見せます」と言っていたので、たぶん真っ白シーツが衣装なんだと思う。黒子くんらしいなぁ。
隅で邪魔にならないように暗幕をチクチク縫う。クラスの中心で小池くんがあーじゃないこーじゃないと指示を出して、クラスをまとめていた。すごいなぁ、小池くん。クラスメイト達を眺めていると、バチッと小池くんと目が合ってしまい、急いで視線をそらした。思いっきり針で自分の指を刺してしまい、ものすごく痛い。涙目。よそ見なんてするんじゃなかった。


「木村!」


視線をそらしたところで何の効果もなかったらしい。小池くんはわたしの隣にやってきて、キラキラした目で言った。「木村のお化けめっちゃ楽しみにしてる!」小池くんがわたしの近くにやってきて、そしてわたしに話しかけたことにより、クラス中の視線が集まってくるのが分かる。怖い。背中に嫌な汗をダラダラ流しながら、「精一杯がんばります」と言うと、小池くんは満足そうに笑った。「よーし、作業再開!」小池くんの掛け声により、クラスメイト達はそれぞれの作業を開始した。









「木村さん、ちょっといい?」

暗幕をチクチク縫っているとクラスメイトの女の子が話しかけてきた。何かミスをしたのか不安になり、彼女の様子をうかがっていると、「足りない材料があったから、一緒に買い出しに行かない?」と言われた。

一緒に 買い出し ・・・!

なんて甘美な響きなんだろう。話かけられた時はどうして話しかけられたか分からなくてビクビクしてたけど、こんなお誘い、思ってもみなかった。まるでお友達みたい。文化祭ありがとう!クラスで協力するという大切なことを教えてくれて!


「行きます!」


彼女はニコッと笑う。彼女仲良しグループの子も一緒に買い出しに行くようで、彼女のあとをついてきた。総勢五人で、邪魔にならないように一番後ろをついて歩いてたら、いつの間にか女の子たちに囲まれている。なぜか中心にわたしがいるという奇妙な陣形で教室を後にした。昇降口について恐る恐る下駄箱を開けるとちゃんと靴があってほっと一息つく。ローファーを履いてから気がついた。さっきからずっとみんな無言だ。一言も喋ってない。買い出しならどこの店に行くとか、何買うとか話してるはずだし、わたし以外は仲良しグループみたいだから、雑談とかあってもいいのに・・・。


「さ、行こうか」


またさっきの陣形になって、先頭のリーダー格の子に付いていくと、なぜか体育館の裏につきました。わたしの両隣と後ろにいた女の子はリーダー格の子の横に並んで、四人の女の子は一斉にわたしのことを睨んだ。


「邪魔」

「・・・え?」


何を言い出すんだろう、この人。


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