20万打 ありがとう!




=うしろの席の黒子くん詰合せ=





「またフラれた・・」
「おはようございます小池くん。何してるんですか?」
「お、黒子おはよー。何ってときメモに決まってるじゃん」
「・・・木村さんにフラれたからってヤケにならなくても・・・」
「なってねーし、もう吹っ切れてるよ!」
「そうなんですか?」
「そうですとも!」
「あ、木村さん、おはようございます」
「黒子くん、小池くん、おはようございます」
「!? い、今の聞いてた?木村」
「何の話ですか?」
「聞いてないならいいや」





「小池くん聞いてください」
「なんだい木村」
「デートに着て行く服がありません」
「な、なんだってー」
「どどどどどどうしよう!」
「もういっそ制服で行けばいいんじゃね?」
「小池くんのバカ!」
「ひどい!」





「木村さん。今度練習試合があるんですけど、見に来ませんか?」
「どこでするんですか?」
「桐皇高校ですよ」
「ああ、青峰くんのいるところですね」
「知ってるんですか?」
「知ってると言うか、桃井さんと闘った時の縁でお知り合いです」
「・・・連絡先、交換したんですか?」
「してないですよー」
「ならいいです」
「?」





「最近木村何してんの?」
「え?」
「コソコソ隠れてなんかやってんじゃん」
「いえ?何もしていませんが」
「アヤシイ!こっそり俺に教えてよ」
「・・・誰にも言いませんか?」
「言わない(言うけど)」
「黒子くんにも」
「言わない(黒子に言うつもりだけど)」
「マフラー、編んでるんです。黒子くんに」
「おおおおおお!(やっぱ言わないでおこう)」





「う〜寒い」
「小池くんは寒がりですね」
「黒子だって寒がりだろー」
「寒いのは得意じゃないです」
「うん。すげー苦手そー」
「制服の中に着こみすぎて動きにくいです」
「着こみすぎ!ホッカイロでも貼っとけ」
「そうします」





「黒子くんはマフラー、たくさん持ってるんですか?」
「そんなに持ってないです。せいぜい三つくらいですかね」
「・・・そうなんですか」
「いきなりどうしたんですか?」
「なんでもないです」
「・・・?」








「寒くなってきましたね」


黒子くんはそう言って、手に向かってはああと息を吐いた。それで温まるとは思えないけれど、そういう行動をする黒子くんが可愛く見えてしまう。
日中は太陽が出ていてぽかぽかと暖かいが、日が暮れてしまってからは寒くなるのが早い。黒子くんが部活を終えるまで待っていると日没の時刻はとっくに過ぎてしまうため、帰り道はとても寒くなる。黒子くんは寒がりなのか、しきりに手をこしこしと擦ったりしていた。


「そうですね」


黒子くんとお付き合いを始めてから、一日がとても楽しく、そして一日が終わってしまうのが速くなったように感じる。あっという間に一日が過ぎて、一週間が過ぎて、一か月が過ぎて、一年がたって、もう、今年が終わる。そのうちジングルベルが流れ出す頃だ。
一日が早く感じるようになったけど、黒子くんと過ごす時間は永遠のように長く感じるのは、いったいぜんたい、どうしてなんだろう。

街灯がきらきらと光っている。黒子くんの髪の毛が光に透けて、とてもきれいだった。


「黒子くん、目 瞑ってくれませんか?」
「前、ボクの制服の裾引っ張って、目瞑ってたことありましたよね」


心なしか黒子くんは笑って、「三秒だけですよ」と目を瞑った。わたしは急いで鞄からマフラー取り出して黒子くんの首にかける。ところで黒子くんは目を開いた。


「三秒、経ちました」
「・・・三秒ってこんなに短かったんですね」


わたしお手製のマフラーは黒子くんの首に巻き終わる前に黒子くんの目に入ってしまうこととなった。かけている途中で手が止まっていたけど、それはそれで恥ずかしかったから急いでちゃんとマフラーを巻いてあげた。黒子くんはマフラーに顔をうずめると、嬉しそうに「あったかいです」と言った。頑張って作った甲斐があった。


「なにやらコソコソしてるなあと思ってたんですが、もしかしてこれを作っていたんですか?」
「・・・バレてたんですか」
「ボクは木村さんの恋人ですよ。ちゃんと見てます」
「へへへ」
「ありがとうございます。嬉しいです」
「ふふふ」
「笑ってばかりですね」
「うん」


黒子くんは何かに気づいたように「あ」と言い、手を指しのばしてきた。「暖かさのお裾わけです」わたしはその手を握る。・・・やっぱり寒がりだったんだ。黒子くんの手はひどく冷たい。わたしの手の方がもしかしたら温かいかもしれない。隙間なくぴったりと手をつなぐと、途端と熱くなってくる。これは二人じゃないときっとなせない業だね。


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