黒子くんは大抵いつもわたしの後ろに居る。ストーカーとかそういう後ろって意味ではなく、後ろの席に、いつも居る。お昼御飯も誰かと一緒に食べずに、自分の席でもくもくと食べている。よく火神くんがちょっかい出しにきているけど。空き時間とか、昼休みの時間は本を読んでる。本当にバスケ部なのか心配になりそうなくらい、文化部の香りがした。隣の小池くんは黒子くんの間逆で、大抵居ない。たまに授業中も居ない。スッと消えて、こっそり現れるものだから、小池くんは忍者になれる資質があるような気がする。教科書よく忘れるので、その度わたしは教科書を見せていた。怖いのは女子の視線。すごく痛い。でも頼まれたら断れないし、嫌味とか悪口とか、面と向かって言われないので、結局見せてしまってる。きっと影では「あの女媚売ってるー」とか言われてるんだろうな・・・。


黒子くんも、小池くんも、良い人だと思う。わたしのこと避けないし、挨拶もしてくれる。友達を作りに学校に来てるわけじゃない。学生の本分は勉強だ。でも友達がいないからと学校に来たくなかった。勉強しに来るだけと割りきれなかった。だけどこの席になってから、学校に来ることが嫌じゃなくなりつつあるんだ。小池くんの隣の席なのも、わたしの後ろに黒子くんの気配を感じるのも、今は居心地がいい。


「木村!数学の宿題写させて!」
「嫌です」
「ひどい!黒子頼む!」
「ボクもやってくるの忘れました」
「えーマジで。どうしよう・・・」


すかさずクラスの女の子が小池くんのところまでやってきて「わたしの写させてあげようか?」と言う。小池くんはパァ!と明るい顔になり、すぐにそれをひっこめた。小池くんは「黒子とやるから、いい。ありがとね」と言って、女の子に手を振る。変なの。写させてもらえば楽なのに。女の子は悔しそうな顔をして、席へ戻って行った。その子の友達数人が彼女を囲い、励ましているようだった。


「ってことで黒子!さっさと終わらせようぜ!」
「そうですね。火神くんもやってなさそうなので火神くんも呼びましょう」


黒子くんの机のまわりには小池くん火神くんが集まり、窮屈そうにプリントを広げてにらめっこを始める。


「全然わかりません」
「俺もー」
「俺もだ」
「木村さん、写させてくれなくていいのでヒントをください」
「・・・ヒントくらいなら」


ホラ、視線が痛い。でも、悪い気はしなかった。


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