「はい二回戦目!」
「次は運動対決ッス!」


うっ・・・自信ない、コレ。
小池くんからジャージを手渡され、体育館にある更衣室へ桃井さんとともに向かった。無言無言、アンド無言。当たり前か。わたしと桃井さんはライバルなのだから。着替える時にプリンと桃井さんの胸が揺れて、不覚にもどきっとしてしまった。大きい胸には夢が詰まってるってこういうことですね、男子諸君。わたしの胸には夢が詰まってないようです。フン、と勝ち誇った顔をされて、わたしの心が少し折れた。

体育館へ戻るとそこには障害物走の準備が整っていた。おお、すごい。男子諸君は肩で息をしていて、急いで準備をしたのだと窺える。


「審査員は俺ッス」黄瀬くんはストップウォッチをヒラヒラさせて言った。「麻袋、スプーン、平均台、パン食い、網潜りでゴールッス。早く着いた方が勝ち!」単純明快。これなら、何とか勝てるかもしれない!わたしはぎゅっと拳を握りしめる。

スタートイラインに立つと、黄瀬くんは笛を持ち、「位置について、よーい、ピー!」っと勢いよく吹いた。桃井さんがすごいスタートダッシュで駆け抜ける!やばい何この人足速いんですけど!運動音痴を自負するわたしは桃井さんを追いかける形で障害物走がスタートした。


「桃っち速い!麻袋を上手にぴょんぴょん飛んでいく!」
「負けるな木村ホレ急げ!」
「桃っちスプーンさばきすげー!!」
「おっ木村貧乳が功を奏したか、平均台速い!」
「小池くんうるさい!」
「さつきーそのパンくれー」
「勝手に食べて!」
「桃っち胸が邪魔してるか!網に時間かかってるッス!」
「追いついた!木村いけー!!」


赤い人と紫の人がもつゴールテープに、いち早くたどり着いたのはわたしだった。この時ほど貧乳でよかったと思ったことはない。でもやっぱり小池くんひどい。


「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -