「もしもーし」
「はい」
「小池だけどー」
「表示されているのでわかりますよ」
「だよねー」
「なにかご用ですか?」
「春休みどーよ、楽しんでる?」
「それなりに。宿題は終わりました」
「今度写させて!」
「断ります」
「あ、じゃなくてだな」
「はい?」
「決戦は金曜日だぞ!」
「決戦??」
「覚えてないの?あのピンクの女の子」
「・・・忘れてました」
「忘れんなよ」
「すっかり音沙汰なかったので」
「金曜日だからな!」
「・・・明日じゃないですか」
「うん、頑張れ!」


ガチャリ、と電話が切られた。
ピンクの女の子に白い手袋を投げつけられてから早二週間。春休みに突入して幾日か経過した。宿題は最初に終わらせておいたら、たくさん黒子くんと遊べると思ったので、早く片付けた。黒子くんは部活が忙しいみたいだけど、時間を見つけては会ってくれる。優しい優しい彼氏なのだ。満たされていたから、すっかり忘れていた決闘。黒子くんには言わずじまいだった。どうしよかなぁ、電話、してみようかな。


「・・・もしもし」
「木村さん。こんばんは」
「こんばんは」
「どうかしましたか?」


癒される。黒子くんの声。あー耳が幸せ。どうかしましたかって、どうもしないんだけど、明日黒子くんをめぐって決闘なんだけど、わたし頑張るよーとか言いたかった。言えなかった。わたしが勝たなければいけないから。これはわたしとピンクさんの戦いだから。


「ううん。なんでもないです」
「そうですか」
「ちょっと声が聞きたかったので」
「(きゅん)」
「明日からまた頑張れそうです」
「ボクも、木村さんの声が聞けて良かったです」
「(きゅん!)」


俄然やる気が出てきた。負ける気がしない。


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