見ず知らずの他校の女子生徒が校門の前で佇んでいる。遠目から見てめっちゃカワイイ。たぶん間近で見てもめっちゃカワイイんだろう。わたしはこれから帰宅するところで、なぜか横には小池くんがいた。珍しい。だいたい小池くんは友達と放課後遊びに行くので、わたしと一緒に帰ることはほとんどない。どんどん彼女との距離が縮まって行く。あ、やっぱり近くで見てもカワイイなぁ。いったいなぜ彼女はここに立っているんだろう。うちの学校の誰かに用事でもあるのかな?暗い顔しているのが気になるけど・・・。彼女の横を通り過ぎる時にぼそっと「あなたが・・・木村アミさん?」と聞こえた。わたしの名前を、見ず知らずの他校の女子生徒が口にした。ヤダ怖い。立ち止まって彼女のことを見る。ピンク色の髪の毛からのぞくぱっちりお目目がカワイイけど、見たことのない顔だ。つまり知らない人。横の小池くんは何も言わずにわたしと同じように立ち止まった。


「いかにも。わたしが木村アミです」
「ププ・・・いかにもって」
「小池くんうるさい」
「最近俺に冷たくね?」
「そんなことないですよー」


なんてやりとりをしていると「ごちゃごちゃうるさい!」とピンクの女の子が叫んだ。息つく暇もなく、「なんであなたみたいな地味な子がテツくんの恋人なの!?」と言う。ごめんなさい地味で。というか、テツくんって誰?恋人ってことは、わたしの恋人である黒子くんのことなのだろうか。黒子テツヤだから・・・テツくん。テツくんかぁ・・・。わたしが黒子くんをテツくんって呼んだら、どんな顔するかな。・・・じゃなくて!


「黒子くんの彼女、ですけど」
「ずるい!私のほうがずっとテツくんを好きで、ずっと片思いしてて、近づこうって頑張ってたのに!胸だって私の方が大きいのに!」
「(貧乳で悪かったな)」
「勝負よ!」


彼女が白い何かをぶん投げて、それがパシーンと頬にぶつかる。トサッと地面に落ちたのは白い手袋だった。タクシーの運転手さんがしているような奴。なぜに、これを・・・?


「決闘よ!」
「決闘?」
「テツくんをかけて!」
「・・・黒子くんはわたしと付き合っているので、わたしにはなぜ決闘をしなければいけないかわからないのですが」
「私の方がテツくんにふさわしいもん!」
「受けて立ちましょう!(わたしが黒子くんの彼女なんだ!)」


ピンクの女の子はにやりと不敵に笑うと「尻尾丸めて逃げないでね」と言って、去って行った。カワイイんだけど、なんだか残念な可愛さだなぁ・・・。きっと黒子くんが関わらなければ、イイ子なんだと思うんだ。


「で、何さっきからにやにやしてるんですか、小池くん」
「えっなんのことかなっ、にやけてませんけど!」
「さては、何か事情を知ってますね?」
「ななななななにも知らないよ!」
「そんなにどもられたら何か知ってるとしか思えないのですが」
「ま、まぁ頑張ろうぜ、決闘!」
「わたし、負けません」
「応援してるよー」


黒子くん、見ててください。名前も知らないけど、わたしはあのピンクの子に勝ってみせます。


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テーマ「人外ファンタジー」
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