席替えをした。わたしは窓際の、後ろから二番目。わたしの後ろには影が薄いと言われている黒子くん。




うしろの席の黒子くん





その頃のわたしは友達がほとんどと言っていい程居なかった。同じ中学校だった人も少しはいるけど、違うクラスになってしまったし、人見知りと口下手が災いしてうまくクラスに馴染めなかったからだ。気づけば周りはもう友達グループが出来上がっていて、わたしの入り込む余地はナシな状態。最近ようやく友達なんて居なくてもいいやと思い始めた。あーあ、なんで誠凛高校なんて来たんだろう。


「よろしくお願いします」


後ろから声をかけられて、心臓がギュッと縮む。恐る恐る振り返ると黒子くんは無表情に近い、でも少し笑っているような、そんな顔でわたしのことを見てきた。まさか話しかけられるとは思ってもみなかったから、驚いた。だって喋ってるところそんなに見たことないし、それに、わたしに話しかけてくれる人なんて、いるとは思わなかったから。


「こちらこそ、よろしくお願いします」
「黒子テツヤです」
「知ってます」
「そうですか」
「木村アミです」
「知ってます」
「そうですか」


・・・沈黙。前を向こうとしたとき隣の席になった人がプッと吹き出して笑い、わたしに話しかけてきた。


「面白いね、二人」
「そうですか?」
「うん。黒子も木村も、ここで自己紹介するー!?って思いながら聞いてた」
「そうですか」
「俺、小池翔太」
「知ってます」
「よろしくね」
「はい、こちらこそ」


彼は一年の中でかなりイケメンの部類に入ると噂の人で、女子にとても人気がある。そんな人にも話しかけられるなんて、この席はなにかパワーでもあるのだろうか。だって今まで席替えしても話しかけられることなんてなかったから。

下を向いて、少しだけ口元を緩ませる。友達居なくてもいい、だなんて、嘘だ。


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