朝、わたしが登校して階段を上ろうとしたとき、「木村さん」呼ばれる。「おはようございます」「黒子くん、おはようございます」そこに居たのは黒子くんで、黒子くんはちょうど朝練が終ったらしく、一緒に教室にいくことになった。ほのかに香る黒子くんのシャンプーの香りにドキっとして、胸キュンとは多分このことなんだろうと考える。流れる髪を見ていると、視線に気づいたのか、パチと目が合ってしまい、急いでそらした。だって、昨日のことを思い出した。


「木村さん、ボクとお付き合いしてください」


いつだって脳内再生可能な黒子くんの声と、言葉に、また胸が苦しくなる。夢なんじゃないかって、思ってしまう。こんなの、幸せすぎる。

並んで教室に入ると、出入り口からは遠いはずなのに、小池くんがわたしたちが教室に入ったことに気が付き、そして満面な笑みを浮かべた。ああ、察したようだ。彼は、知ってしまったようだ。なんだか恥ずかしい気持ちで席まで歩く。机の間は狭いから一列になって歩くと、黒子くんは当然のようにわたしの後ろを歩いた。わたしが席に着くまで小池くんはずっと笑顔で、そして、黒子くんを睨んだ。


「・・・小池くん?」
「まさか黒子に負けるとはなー」
「まさか小池くんに勝てるとは思いませんでした」
「小池くん昨日はありがとうございました!小池くんのおかげです!」
「あーあ、手なんて貸すんじゃなかったー」


小池くんは結局笑って、「幸せになー」と言った。予鈴が鳴る、十分前。


小池くんのおかげだよ。小池くんと仲良くなれたから、きっと今のわたしがいるんだ。小池くんの隣の席で良かった。ありがとう。


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テーマ「人外ファンタジー」
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