初めてナチュラルに避けられてから、わたしはナチュラルに避けられ続けた。日常会話も良くわかんないところで黒子くんに遮断させられるし、噂のミスディレクションをわたしに使っているのか、黒子くんの姿を見つけることができないときもある。こんな風に黒子くんに避けられるの、正直すごく辛い。靴隠されたことよりも、友達ができなかったことよりも、黒子くんに避けられる方が、ずっと辛い。もしかしてわたし、黒子くんに嫌われてしまったのだろうか。少なくとも嫌われてはいないと思っていた。喋ってくれるし、挨拶してくれるし、話しかけてくれるし。靴隠された時は助けてくれた。でもそれは全部、過去の話。今の黒子くんとは、喋りもしない、挨拶もたまにしない、話しかけてくれない。

嫌われた、な・・・。


小池くんは相変わらず楽しくて、気まずくなっちゃうかなと思ったけど、そんなことはなかった。逆にわたしと黒子くんの仲を心配してくれている。優しいなぁ。ホロリ。小池くんは優しくてかっこいいけど、わたしが好きなのは黒子くんなんだ。理由は分からない。ドキドキしたり、ちっちゃなことで悲しくなったりするのは、黒子くんのことだけ。

でもずっとこんな風に避けられていたら、わたしの心も折れてしまう。だからこの際告白してしまおうと思った。このまま避けられ続けて心が折れてしまうのなら、告白してふられて、心が折れる方がよっぽど良い。









「ということで、わたし告白しようと思います」


思い立ったが吉日。放課後、高らかに小池くんに宣言した。小池くんは呆れた顔をして「木村それ本気?」と聞いてきた。


「もちろんです。ふられる気しかしませんが」
「ふられた時は俺が慰めてあげる」
「ありがとうございます!」


小池くんは笑って「頑張ってー」と言う。心がこもってないように聞こえたのは多分気のせいだ。


「それで小池くん、黒子くんを呼び出してほしいんです!」
「えー…」
「お願いします!」
「何気にヒドイよねぇ木村って」
「えぇ!?ヒドイ女ですかわたし!?」
「ウソウソ。呼び出すよ」


だってわたしが話しかけようとしても黒子くんは逃げる。告白はおろか、話しかけることすらままならない状態だ。だからわたしが呼び出したってきっと来てくれないだろう。小池くんは黒子くんに避けられていないようだし、小池くんの呼び出しにはきっと答えてくれるはず。


「では30分後に黒子くんを教室に呼び出してください!」
「気合入ってるねー」
「もちろんです!」


鼻息荒く、わたしは椅子から立ち上がる。うしろには黒子くんの姿はない。当たり前だ。さっきから教室にはわたしと小池くんしかいなかった。小池くんに「忘れないでくださいね!」と言い残し、教室を後にする。時計の針は四時半を指している。あと30分。メイクを直して、制服もきちんとしなくちゃ。



「本当、ヒドイよね。俺に恋の手助けお願いしちゃうなんてサ」
「惚れた弱みってやつかなー・・・」

その声はわたしまで届かなかった。


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