恋ってしたことないから勝手が分からなくて、走り始めたら止まらなくて、好きが膨れてゆく。きっと両想いになるためにアピールしたりするんだろうけど、わたしにはその方法が見当もつかない。話しかけたらいいのか?デートに誘うのか?デートって言うのは恋人同士がするものなのか?友達と恋人の違いとは?考えれば考えるほど、沼に嵌って行くようだ。恋愛初心者のわたしにとって、恋とは未知なものである。だから自分自身に問いかけたって、答えは出てこないのだ。









暇だ・・・!暇すぎる・・・!

文化祭の振り替え休日である月曜日。今日は保健当番で、一人保健室で留守番をしている。バスケ部は活動アリと調査済み(調査と言っても先生が教えてくれただけ)。だからもしかしたら黒子くんが来るかもしれない!そう思うと休日だっていうのにいつも以上に気合を入れてメイクをし、学校に来た。


「失礼します」
「は、はい!」
「あ、木村さん」
「黒子くん!」


暇だからと気を抜いてたらこれだ。ささっと前髪を直して、姿勢を正す。メイクに気合入れておいて良かった。もしかしたらの可能性にかけてよかった。心の中でガッツポーズをとる。黒子くんはジャージ姿で、部活の最中だということがうかがわれた。


「今日はどうしたんですか?」
「テーピングがきれてしまって、少し分けてもらえないかなと」
「テーピング・・・ちょっと待っててください」


ガサゴソ
テーピングを探す指先が熱くなってきた。黒子くんを変に意識していることが自分でもわかる。本当は普段通りでいたいのに。接し方は今までと同じようにしたいのに。好きと自覚した途端、何もできなくなってしまった。


「はい、どうぞ」
「ありがとうございます」


黒子くんの広げられた手に、テーピングを手わたす。その時、わたしの指先が黒子くんの手に触れた。

!!!

指先から、体全体が熱くなる。
どうしよう、好き。好き。好き。


「く、黒子くん、あの、あのね!」

わたし、黒子くんが好きです。

「部活なので、失礼します」


あ、れ・・・?

ナチュラルに、今、避けられた。
フイ、と背を向けられる。わたしの話は聞きたくないと、黒子くんが言っているようで、保健室を去っていく大好きな人の後ろ姿を、ただ眺めていることしかできなかった。


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